2019年の交通事故死者数、17年ぶりに「ワースト」を抜け出せた県とは?

■愛知県内の交通事故死者、17年ぶりに全国最悪を抜け出す

愛知県警交通部は1日、2019年中の県内交通事故死者数(暫定値)を発表した。死亡事故は153件156人。前年より36件33人少なかった。

愛知県警本部
愛知県警本部。

2019年は7、10、11月を除く各月で前年比減を達成。12月も「ストップ・ザ・ワースト」をキーワードに26%減で年間数を抑制し、17年ぶりに最悪の状況を抜け出すことができた。愛知県は死亡事故が他の地域より多発しているだけでなく、12月に死亡事故が増える傾向が強かった。そのため被害者数は前年比で減っているのに、悪い意味での追い込みをかけることが重なり、結果的に2003~2018年まで16年連続で全国最多を刻んでいた。

●2019年のワーストは千葉県の167人

2019年の交通事故死者数は全国で3164人。都道府県別では千葉県が167人と最悪の状況にある。

2019年の愛知県は、歩行者事故を抜いて四輪車乗車中の死亡事故が多かった。前年比で8人増えて50人が亡くなった。一方、歩行者の事故死者は23人減って46人になった。自転車事故も11人減って25人だった。愛知県ではバイク事故は相対的に少ない。

交通死亡事故の特徴_当事者別
愛知県の2019年の交通死亡事故は、四輪車乗車中が最多となった。

死亡事故全体を年齢別にみると、65歳以上の高齢者の被害は80人。前年比で23人減少した。
15歳以下の子供は2人。前年比で3人減少した。この2つのデータから交通弱者の被害を抑えて、四輪車乗車中が目立ったという見方もできるが、事故のパターン別に見ると、運転者の意識という別の要因も見えてくる。

●事故の第一原因は信号無視と速度違反

例えば、「横断中」「出合頭」「車両単独」「正面衝突」という主な4つの事故パターンに当てはまる113人について、交通部は分析をしている。

交通死亡事故の特徴_4類型
事故パターンでは「車両単独」と「正面衝突」が増加している。

これによると2019年は車両単独が11人増加で43人、正面衝突が4人増加で10人に増えた。一方、横断中の事故は7人減って32人だった。出合頭も8人減って28人だった。横断中や出合頭事故は、警察が取締りを重点化することで、運転者と交通弱者双方に注意を促すことができる。しかし、車両単独事故や正面衝突はそれだけでは解決しない。

事故の第一原因を法令違反別にみた分析では県警は信号無視や最高速度違反を指摘する。また、これとは別に飲酒運転死亡事故も18年、19年は13人と変化がなかった。飲酒の重点取締りを行った年は効果がでるが、そうでないと15人を超える年も過去には珍しくない。

(中島みなみ)