●1車種で3種類の4駆機構を用意するRAV4
日本カーオブザイヤーを受賞したトヨタのRAV4。横置き4気筒エンジンの、FFベース・4 輪駆動のSUVモデルです(FFもあり)。
今やこうした形態のSUVは非常に一般的ですが、現行のRAV4では4WD機構をなんと3種類も備えているのが特徴。今回、このうちの2種類に試乗することができましたのでご報告します。
3タイプのうちの1つ目はコンベンショナルなオンデマンドタイプの『ダイナミックトルクコントロール4WD』と呼ばれるもの。ガソリンエンジン搭載車に採用されています。
これは通常はFFで走っていますが、必要に応じてリアにも駆動力を配分するというもの。リアデフの手前に電子制御のカップリングを持っていまして、前後のトルク配分は100対0から50対50までの可変となっています。
以下は試乗ができた2種類のタイプになります。
まずは『ダイナミック トルク ベクタリングAWD』(以下、DTベクタリング)と呼ばれる機構です。これはガソリンエンジン搭載車に採用されている4駆機構で、現行ラブ4の目玉でもあります。
通常のフロント100%トルクのFF状態から、必要に応じてリヤに最大50%のトルクを配分するという方式です。
ただし1つ目に紹介した機構とは大きくメカニズムが異なります。リアの駆動系にはデフを装着する代わりに機械式クラッチが装着され、後輪左右のトルク配分を0対100から100対0まで可変させるトルクベクタリング機能が付いているのです。
また、フロントのトランスファーとリアの駆動軸の直前にはそれぞれ『ディスコネクト機構』という駆動力分離機構が付いています。この分離機構を使うことによって、一般道走行時には走行抵抗を大きく削減することができ、燃費性能も改善できていることも大きな特徴です。
実際にフラットダートに作ったジムカーナコースで乗ってみました。なお今回は、意図的にコーナーを速く走るような乗り方をしています。
通常ですとコーナーでは加速しようとしてアクセルを開けてもアンダーステアが大きくなってしまうので、踏み込み量は減らすことになります。しかしこのDTベクタリング採用のラブ4の場合、あえて思い切ってアクセルを踏み込んでやると外側後輪のトラクション量が増えることで、オーバーステア傾向のハンドリングとなってくれます。
このため面白いようにクルンクルンとコーナーをクリアしてくれるのでした。
このテストの際、トラクションコントロールを切ってみました。するとまるでFR車のように豪快にリアを振り出してくれることが確認できました。一方でトラクションコントロールを作動させると車両の挙動はピタリと安定してくれます。
そして3タイプ目の4駆機構はハイブリッドに採用されているものです。フロントの駆動力はエンジンとモーターの複合によるもの、リアはモーターのみで駆動する『E-Four(イーフォー)』システムといいます。
RAV4に採用されているE-Fourでは前後のトルク配分を100対0から、なんと破格の20対80まで変化させることができます。
実際に乗ってみると後輪に大きなトルクが配分されていることから、特に直線での加速に安心感が出ています。躊躇なくアクセルを踏み込んでいくことができました。
後輪へのトルク配分が増すことでもちろんコーナリングでの回頭性もアップしているはずなのですが、絶対的なコーナリング速度や曲がりやすさは”異次元クラス”のDTベクタリングの方が上だと感じました。
RAV4は、限りなく乗用車やクーペに近づいていきつつあるSUVの中にあって、クロスカントリー車的なごついルックスが魅力です。そして実際乗ってみると、その4駆システムにおいても骨太な魅力があふれているのでした。
(写真・動画・文/ウナ丼)