■タービンをサイズアップして登場
10月末のD1GP最終戦を前に、GRスープラのエンジンを直列6気筒の2JZからV型8気筒の3UZに変更したTeam TOYO TIRES DRIFTの川畑選手。それは、この11月29日〜12月1日に行われたFIAインターコンチネンタルドリフティングカップ(FIA IDC)で2年ぶりに世界一の座を奪還するためのパワーアップ策でした。
D1GP最終戦のときは、まだ強度の低いガスケットしか用意できず、そのため冷却トラブルを起こす心配があり、低いパワーでしか走れませんでした。しかし、その後、冷却系の配管を見直すなどした結果、冷却トラブルはあるていど改善されました。
まだ強化ガスケットが準備できないため、フルパワーとはいきませんが、タービンもギャレットのG42という、より大きいサイズのものに交換し、一定の過給圧をかけられるようになった結果、フラットで乗りやすいパワーが出せるようになった状態でFIA IDCに乗り込みました。
サスペンションも車高や切れ角を調整して、まずまずのセッティングは出ている状態です。練習走行では川畑選手も「まぁ順調です」とのことでした。
■アンダーステアに悩まされる
そして土曜日に行われた単走決勝1本め、スピードではポイントが高かった川畑選手ですが、「練習走行とはフロントタイヤの熱入れのタイミングが違って、冷えきっちゃってたせいで、振り出しからアンダーが出てしまって、それをきらってハンドルをこじったら角度がつきすぎてしまいました」という状況で1コーナー飛び込みの部分で車速が足りず、サイドブレーキで伸ばすかたちになったのもあって、70点と得点が伸びません。
タイヤにもフラットスポットができてしまいましたが、この大会は単走の2本の走行のあいだにタイヤ交換をしてもいいというルールだったため、新品タイヤに替えることができました。2本めもフロントが逃げる症状は出ましたが、川畑選手がなんとか運転でカバーし、きっちりラインをとれたこともあって81点というまずまずの得点で単走を7位通過しました。
追走は翌日の日曜日に行われました。川畑選手のチームは単走で出ていたフロントのグリップ不足を改善するため、朝のチェック走行の前にバネを交換するなどのセッティング変更を行いましたが、チェック走行での結果は芳しくなく、あらためてセッティング変更をして本番に臨みました。
追走ベスト16。相手は中国のチームからエントリーしている台湾人ドライバーのアーツー選手。マシンはBMWです。1本めは川畑選手が先行。川畑選手は1コーナーと最後のヘアピンコーナーで舵角が戻ってしまいます。入れ替えた2本め、今度は後追いとなった川畑選手ですが、1コーナーで飛び出してしまいました。これでベスト16敗退となりました。追走前に足まわりのセッティング変更はしたものの、「ハンドルが返ってこない症状と、アンダーステアとに苦戦しながら走ることになってしまいました」と川畑選手。
やはり、まずエンジンがしっかりパワーを出しきれるところまで仕上げたうえで、リヤのサスペンションセッティングを決めて、それに対してフロントを合わせるという手順がセオリーなので、2019年中にはそこまで熟成できなかったようです。しかしこれでシーズンオフ。じっくりエンジンの対策もする時間があると思われるので、V8エンジンのフルパワーを出しきって、2020年は大暴れを期待したいところです!
なお、川畑選手のチームメイトである、Team TOYO TIRES DRIFTの藤野選手(180SX)は、決勝で駆動系トラブルによりリタイヤとなりましたが、準優勝。
また、タイ代表として出走した同じくTeam TOYO TIRES DRIFTのポン選手は、マシン不調もあり単走予選を通過できず、敗者復活トーナメントの決勝で敗れ、決勝トーナメントには進出できませんでした。
2020年のD1GP開幕戦は、4月25、26日、福島県・エビスサーキットの予定です。
(写真:サンプロス/まめ蔵)