スピードは見せたものの…川畑GRスープラのV8パワー炸裂は2020年に持ち越し!【FIA IDC】

■タービンをサイズアップして登場

10月末のD1GP最終戦を前に、GRスープラのエンジンを直列6気筒の2JZからV型8気筒の3UZに変更したTeam TOYO TIRES DRIFTの川畑選手。それは、この11月29日〜12月1日に行われたFIAインターコンチネンタルドリフティングカップ(FIA IDC)で2年ぶりに世界一の座を奪還するためのパワーアップ策でした。

川畑GRスープラ01
川畑選手のスープラはタービンを大型化し、最大出力は推定約900psというところまでパワーを出してきました。

D1GP最終戦のときは、まだ強度の低いガスケットしか用意できず、そのため冷却トラブルを起こす心配があり、低いパワーでしか走れませんでした。しかし、その後、冷却系の配管を見直すなどした結果、冷却トラブルはあるていど改善されました。

まだ強化ガスケットが準備できないため、フルパワーとはいきませんが、タービンもギャレットのG42という、より大きいサイズのものに交換し、一定の過給圧をかけられるようになった結果、フラットで乗りやすいパワーが出せるようになった状態でFIA IDCに乗り込みました。

サスペンションも車高や切れ角を調整して、まずまずのセッティングは出ている状態です。練習走行では川畑選手も「まぁ順調です」とのことでした。

川畑GRスープラ02
タービンはギャレットのG42。現時点の過給圧は1.3kg/cm2程度なので、まだパワーアップの余地がありそうです。

■アンダーステアに悩まされる

そして土曜日に行われた単走決勝1本め、スピードではポイントが高かった川畑選手ですが、「練習走行とはフロントタイヤの熱入れのタイミングが違って、冷えきっちゃってたせいで、振り出しからアンダーが出てしまって、それをきらってハンドルをこじったら角度がつきすぎてしまいました」という状況で1コーナー飛び込みの部分で車速が足りず、サイドブレーキで伸ばすかたちになったのもあって、70点と得点が伸びません。

タイヤにもフラットスポットができてしまいましたが、この大会は単走の2本の走行のあいだにタイヤ交換をしてもいいというルールだったため、新品タイヤに替えることができました。2本めもフロントが逃げる症状は出ましたが、川畑選手がなんとか運転でカバーし、きっちりラインをとれたこともあって81点というまずまずの得点で単走を7位通過しました。

川畑の単走
本調子ではなかった川畑選手ですが、難なく追走トーナメント進出を決めました。

追走は翌日の日曜日に行われました。川畑選手のチームは単走で出ていたフロントのグリップ不足を改善するため、朝のチェック走行の前にバネを交換するなどのセッティング変更を行いましたが、チェック走行での結果は芳しくなく、あらためてセッティング変更をして本番に臨みました。

川畑GRスープラ04
日曜日の朝にはスプリング変更を行いました。

追走ベスト16。相手は中国のチームからエントリーしている台湾人ドライバーのアーツー選手。マシンはBMWです。1本めは川畑選手が先行。川畑選手は1コーナーと最後のヘアピンコーナーで舵角が戻ってしまいます。入れ替えた2本め、今度は後追いとなった川畑選手ですが、1コーナーで飛び出してしまいました。これでベスト16敗退となりました。追走前に足まわりのセッティング変更はしたものの、「ハンドルが返ってこない症状と、アンダーステアとに苦戦しながら走ることになってしまいました」と川畑選手。

川畑選手の追走
今回の追走では、まだ思ったような走りはできませんでした。

やはり、まずエンジンがしっかりパワーを出しきれるところまで仕上げたうえで、リヤのサスペンションセッティングを決めて、それに対してフロントを合わせるという手順がセオリーなので、2019年中にはそこまで熟成できなかったようです。しかしこれでシーズンオフ。じっくりエンジンの対策もする時間があると思われるので、V8エンジンのフルパワーを出しきって、2020年は大暴れを期待したいところです!

川畑選手
オープニングセレモニーでの川畑選手。2019年は不完全燃焼に終わってしまいました。

なお、川畑選手のチームメイトである、Team TOYO TIRES DRIFTの藤野選手(180SX)は、決勝で駆動系トラブルによりリタイヤとなりましたが、準優勝。

藤野選手
藤野選手はいつもどおりの正確で速いドリフトを見せましたが、優勝はなりませんでした。

また、タイ代表として出走した同じくTeam TOYO TIRES DRIFTのポン選手は、マシン不調もあり単走予選を通過できず、敗者復活トーナメントの決勝で敗れ、決勝トーナメントには進出できませんでした。

ポン選手
ポン選手はエンジン不調で本来の走りができませんでした。

2020年のD1GP開幕戦は、4月25、26日、福島県・エビスサーキットの予定です。

(写真:サンプロス/まめ蔵)

 

 

この記事の著者

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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