ハイレスポンスで心地よい走りが楽しめる「SKYACTIV-X」は、進化したMTが楽しい!【MAZDA3試乗記】

■試乗する価値アリのMT仕様。シフトするのが楽しい!

マツダが走りの領域において掲げる「人馬一体感」を堪能できるのは、「SPCCI」と呼ぶ、同社独自の圧縮着火燃焼技術を搭載した「SKYACTIV-X」でもやはりMTでした。試乗時間は短かったものの、もしMTも選択できるのであれば、オススメしたくなる仕上がりだと断言できます。

マツダ3のフロントビュー
SKYACTIV-Xを搭載したMAZDA3は、12月5日に発売予定。

MAZDA 3以降、マツダはMTのシフトフィール改善を図っています。筆者はモデル末期のデミオ(1.5Lガソリン、MT)に乗っていますが、MAZDA3で採用されている第7世代のMTは、よりカチッとした剛性感に加えて、各ゲートに吸い込まれるように入っていく操作感で、非常にスムーズにギヤチェンジができる点に感銘を受けました。MTそのものが減っている中、あえて選択したい操作性を実現しています。

マツダ3
MAZDA3のMTシフトレバー

そこに「M Hybrid」の搭載により、モーターアシストも加わる「SKYACTIV-X」では、変速アシスト制御や1〜5速までのクロスレシオ化も相まって、出だしの良さと伸びやかな加速を可能にしています。マツダでは、その加速力はロードスターに迫る、と謳っています。「SKYACTIV-X」の良好なエンジンレスポンスと非常にマッチしているように感じられました。

マツダ3
MAZDA3「SKYACTIV-X」の走り

■公道での乗り心地、後席の快適性は?

ここからは、MAZDA3の乗り心地、快適性について紹介します。MT、ATともに乗り心地は引き締まっているものの、シートの減衰も良く効いている感覚の前席は、荒れた路面をのぞき、現在のCセグメントの中でも平均点は十分にクリアしているように感じられます。とにかくフラットライドでウルトラスムーズなカローラと比べると、分は悪いですが、前席に関しては大きな不満とまではいえない印象です。

マツダ3
MAZDA3のフロントシート

リヤにトーションビームを採用することでサスペンション形式的には不利に思えますが、形式だけでは決まらないのも過去の例やフランス車などの例からも明らかでしょう。ただし、後席は少し突き上げが大きめで、熟成の余地はまだありそうです。

マツダ3
MAZDA3のリヤシート

また、後席に座っていると気になるのは、デザイン優先の影響か身長171cmの筆者で拳1つ強の余裕が残っているにも関わらず閉塞感が強めで、リヤピラーの存在と低く感じられるルーフにより開放感はのぞめません。後席足元は、Cセグメントとしては十分に確保されていて空間自体は狭くはありません。

マツダ3
MAZDA3(ファストバック)のリヤビュー

後席に座る機会が多く、乗降性や居住性、さらに積載性を重視するのであれば、乗り心地もさらに良好なCX-30もありますから、MAZDA3ベースのクロスオーバーSUV(=CX-30)を指名する手もありそう。

一方で、ディンクスの方など後席の使用頻度が高くないのであれば、MAZDA3のファストバック、より剛性感のある走りとプライバシー感の高い空間をお望みならMAZDA3のセダンも控えています。

いずれも「Be a Driver.」を掲げているマツダらしいハンドリングの良さがMAZDA3の身上といえそうです。

【主要諸元】
MAZDA3 X Burgundy Selection(2WD)
全長×全幅×全高:4,460×1,795×1,440mm
ホイールベース:2,725mm
車両重量:1,440kg
エンジン種類:直列4気筒DOHC
総排気量:1,997cc
最高出力:180ps(132kW)/6,000rpm
最大トルク:224Nm(22.8kgm)/3,000rpm
トランスミッション:6速AT
タイヤサイズ:215/45R18
燃費:17.2km/L(WLTCモード)
価格:3,451,963円

(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる