観音開きドアで4座の超小型EVはレベル3の自動走行も可能【東京モーターショー2019】

■TAJIMA EVの最新作はモビリティ新時代を予感させる超小型4シーターEV

東京モーターショーに出展しているのは大きな自動車メーカーだけではありません。カロッツェリアなどと呼ばれる小規模メーカーもブースを出しています。むしろ、小規模メーカーこそチャレンジングなアイデアが提示されていたりするので、クルマの未来を知ろうという人には有意義かもしれません。

そうしたメーカーのひとつが、TAJIMA EV。モンスター田嶋の愛称で、パイクスピークなど海外モータースポーツではレジェンドとして認められている田嶋伸博氏が代表を務める電気自動車の専業カンパニーです。

そのブースに飾られていた、背高のっぽな超小型EVは、このカテゴリーを知っている人からするとインパクトは特大といえるキャビンを持っていました。なんと、4人乗りなのです。

これまで最高速度が60km/hに抑えられる超小型EVというのは定員2名というのがスタンダードでしたが、このカテゴリーにおいて4名乗車を実現したというのは、様々なレギュレーションを鑑みても意欲作といえるところ。

ドアは観音開きで、後席への乗り降りもけっして無理な姿勢を強いられるわけではありません。

屋根には回転型の空間センサーが備わっています。つまり、自動運転にも対応した超小型EVというわけです。その技術レベルは、いわゆるSAEの自動運転分類でいうレベル3を実現しているといいます。高齢ドライバーが社会問題となっていますが、運転スキルの低下をカバーしてくれる小型モビリティというわけです。

クルマが必須の地域や、ラストワンマイルと呼ばれる公共交通機関ではカバーしづらいエリアを想定した超小型EVは、これからニーズがどんどんと増していくことが予想されていますが、こうして4名乗車を技術的に可能するという提案があれば、レギュレーションが最適化されていくとも考えられるのです。

Tajima EV cockpit
Tajima EVの4人乗り超小型EV(プロトタイプ)の室内

さらにTAJIMA EVでは、電気自動車と自動運転を組み合わせた提案もしています。そのひとつが自動運転によって位置を把握して駐車することで可能としたワイヤレス充電です。

こちらは、すでに実績のある超小型EVを使った展示ですが、駐車するだけで充電ができれば、こまめに充電する前提でバッテリーサイズを小型化できますし、充電忘れという心配もありません。シェアリングの超小型EVにおいては十分に価値あるソリューションといえますし、このカテゴリーのクルマに搭載できる自動運転テクノロジーにより正確な位置に駐車することを実現しているというのも、同社の強みといえそうです。

wireless charge
Tajima EVが開発中のワイヤレス充電のデモ

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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