●設立から半年を迎えたフォルシア クラリオン エレクトロニクスが各種事業を紹介
2019年4月に設立されたFaurecia Clarion Electronics(フォルシア クラリオン エレクトロニクス)。設立から約半年となる東京モーターショーのプレスカンファレンスでは、川端 敦Executive Vice President(クラリオン社長)がプレゼンを行いました。
フランスのメガサプライヤーであるフォルシアは、シートやインテリアに強く、一例としてランボルギーニ・ウルスに採用されているハイパフォーマンスシートを展示。
同社には、「クリーンモビリティ」「シーティング」「インテリア」「クラリオン エレクトロニクス」という主に4つの主要事業があり、クラリオンはもちろん最後の「クラリオン エレクトロニクス」をクラリオンと共に担っています。
コクピット エレクトロニクスと高度運転支援・自動運転分野においてグローバル・リーダーなることを目標に掲げています。その中でも5つのプロダクトライン(コクピット ドメイン コントローラー/イマーシブ サウンド システム/ディスプレイ テクノロジー/インテリア モニタリング システム/アドバンスド ドライバー アシスタンス システム)を基軸に、ヨーロッパ、北米、中国、日本に拠点を置いています。
クラリオンはヨーロッパでの市場が手薄だったこともあり、フォルシア傘下に入ることで、事業拡大が図れる利点があります。
東京モーターショーでは、「ADAS(自動遠隔出庫/長距離呼び寄せシステム)」「IMS(Interior Monitoring System)」、音声アシスタントコクピット、コネクティッド プレミアム サウンド、「Display」では曲面インストルメントパネルなどを展示。
スマホを使い愛車を呼び出すことができる「ロング・レンジ・サモン(Autonomous pick-up)」機能は、2019年のグッドデザイン賞を受賞。フォルシア クラリオンが開発した同技術は、高額なセンサーやインフラ側の対応も必要とせず、主に商業施設の駐車場での使用を目的に実用化を目指すとしています。さらに、過疎地における高齢者の交通手段としての活用など、発展的な可能性にも期待したいと評価されたそう。
日産セレナのデモカーでは、「Connected Premium Sound Technologies(コネクテッド・プレミアム・サウンド・テクノロジー)」の体感が可能。こちらは、オンラインテクノロジーと音響ソリューションの組み合わせで、モニタリングカメラにより、4座席の乗員の状況を自動検出。予め好みの音楽などを入力しておくと、各シートごとに最適な音場環境提供する新技術で、乗員の好みに応じた選曲もしてくれそう。
さらに、クラリオン自慢のフルデジタルサウンド(FDS)も搭載されています。音源とスピーカー間の完全なデジタル伝送を行う同システムと新技術は、音楽愛好家に非常に優れたリスニング品質を提供するとしています。まだ、商品化はされていませんが、自動車メーカーなどへのOEや市販カーナビ、オーディオへの搭載が期待される技術です。
「Voice-Activated Cockpit、Home IoT」として、多様なアプリを統合するAndroidベースのシステム「Voice-Activated Cockpit」を展示。フォルシア クラリオンと家電が提供するSmart AccessクラウドサービスのIoTにリンクされたデモとして、車内からのさまざまな家電の操作デモが行われます。
ほかの展示と少しジャンルは異なりますが「Fuel-cell systems」として燃料タンクも展示されています。軽自動車と商用車の両方のスタック技術に対応するもので、フォルシアとミシュランが水素モビリティの世界的リーダーになることを目指し、合弁会社を設立するための覚書に署名。合弁会社は、すべてのユースケース向けに独自の水素燃料電池システムを提供すると表明しています。
(文/写真 塚田勝弘)