●民間に後れをとりつつあったVICSが情報量の開始にむけて始動
「VICSって、もうイマイチ使えないよね」と思っているひともいるのではないでしょうか。VICSは1996年に始まった、カーナビに渋滞情報などを表示する技術です。基本的に全国の道路に設置された30万個の感知器でのデータをもとに構築されています。
でも、いまはGoogle Mapをはじめ自動車メーカーやカーナビメーカーなど、さまざまな事業者が独自の渋滞情報を提供していますよね。そして、VICSでは主要幹線道路しかカバーされないのに対し、各事業者の渋滞情報のほうがより細い道路までカバーされています。あれは、各事業者が走行中のユーザーの情報を取得して、渋滞情報に反映しているのです。これをプローブと呼びます。
じつはVICSもタクシーのプローブ情報などは2015年から活用していたようですが、限定された一部の情報にとどまっていて、最近のさまざまな事業者のプローブ情報と比べると見劣りするものでした。
それが、ついにVICSも複数の事業者からのプローブ情報を取得して、そのデータを統合した交通情報を提供するように動き出すそうなのです。
2020年春〜秋、まずは首都圏のみですが実証実験がスタートします。現在(民間プローブ活用前)は、首都圏の道路6万kmのうち、道路交通情報が提供されるのは30%程度だそうですが、民間プローブを活用すると、じつに最大70%の道路で道路交通情報が提供できるようになるというのです!
たとえば、細かいところでは、現在のVICSでは、アクアラインの海ほたるPAの渋滞情報は、PAの入口までの道しか表示されません。それが、民間プローブ情報を活用すれば、PAの入口から駐車場までの通路の渋滞情報まで表示されるというのです!
また嬉しいことに、従来と同様のFM多重放送で提供されるので、あらたに機器を買い替える必要などはなく、従来のVICSのFM多重受信機でそのまま豊富な情報を得ることができるとのことです。
このVICSの民間プローブに情報提供する事業者は非公開なので、新たなVICSの威力がどれほどのものなのかハッキリはわかりませんが、複数の事業者の情報を統合し、しかも自らが持つ感知器のデータも活用できるとなると、かなりの精度と情報量が期待できるはず。
実証実験は茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都6県のみですが、やがては全国的に展開されるでしょう。より渋滞の少ない社会が実現されそうです。
(まめ蔵)