5G通信って意外と大変? NTTドコモのブースでアンテナの苦労を見た【東京モーターショー2019】

●高速大容量通信を実現する5G。車載アンテナの実用化をテスト中

通信技術の世界では、まもなく5Gの時代が来ると盛り上がっています。5Gは高速大容量の通信ができるので、自動運転などを実現するためにも非常に重要な技術だといわれていますね。

ところがその5G、意外と身近なところで難しさもあるようです。そんな一面をNTTドコモのブースで見ることができました。なにが大変かというとアンテナです。

Docomo_Antenna01
試作のアンテナを装着したフロントウインドウです。

5GでNTTドコモが割り当てられている周波数帯のうち、いわゆるミリ波と呼ばれる28GHzの電波が、高速で大容量の情報伝達ができるそうなんですが、この周波数帯の電波は直進性が高く、長い距離は飛びにくく、送受信がデリケートな電波なんだそうです。そもそもミリ波はこれまで移動体には使われてこなかったとか。

そこで、ドコモなどではクルマのフロント、両サイド、リヤと、複数のアンテナをつけて車両で受信のテストをやっているそうです。それくらいやらないと安定した受信ができないんですかね。

で、ここで紹介するのがその試作アンテナです。まずフロントには3cm角くらいの基盤のようなアンテナを装着します。

Docomo_Antenna02
フロントウインドウ上部の中央にこのようなアンテナがついています。

中央の上部につければ、ルームミラーなど内装部品に隠れるところなので、あまり問題にはなりませんね。

Docomo_Antenna
これがアンテナ本体です。

でも、サイドウインドウだと隠れる部分がないので、このアンテナは難しい。

そこで、サイドウインドウでは視界の邪魔にならないように、より小さく、透明に近いタイプのアンテナをつけてみたそうです。下がその合成石英ガラスという素材を使ったアンテナです。

Docomo_Antenna04
薄いガラス板のようなものに薄いプリントがされています。

これで性能は十分出たそうなんですが、この合成石英ガラスのアンテナだと少々目立つし、子供が触ったら落ちてしまったりという心配もあります。そこで、下のようなアンテナもテストしています。

Docomo_Antenna05
わずかに基盤のようなプリントが見えるでしょうか? 肉眼でも光の当たり具合ではほぼ見えません。

これはかなり透明に近い薄いフィルム状にして、2枚のガラスの間にはさんでいます。これならほとんどわからないので、かなり現実的ですね。ただ、このタイプのアンテナはまだ合成石英ガラスのアンテナほどの性能は出ていないそうで、そのレベルまで性能を上げるのが課題だそうです。

5Gというのは、ちょっとこれまでとは次元がちがう通信技術になりそうで、メリットも大きいですが、提供する側となるといろいろと大変なんですね。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
続きを見る
閉じる