ウェットグリップ性能が低下しにくい! ダンロップが新しい低燃費タイヤ「エナセーブ NEXT III」を発表【東京モーターショー2019】

■「水素添加ポリマー」が長寿命の秘密!

ダンロップとファルケンという2大ブランドを抱える住友ゴム工業は、東京モーターショー2019でウェットグリップ性能の低下を半減させたフラッグシップ低燃費タイヤ「ダンロップ エナセーブ NEXT III」を、12月1日から発売すると発表しました。

住友ゴム工業
住友ゴム工業山本悟社長

そもそもエナセーブとは2013年に世界で初めて石油外天然資源を100%使って誕生したエコタイヤです。今回はそのエナセーブに従来のポリマーとは全く異なる「水素添加ポリマー」を採用し、従来品エナセーブNEXT IIに対してウェットグリップ性能の低下を半減させることに成功しました。

グリップ性能のグラフ
グリップ性能の低下割合のグラフ

水素添加ポリマーは結合力が強いため力を加えられても切れにくく、万一切れた場合でも元に戻る特性があります。このためタイヤ性能が維持しやすく、グリップ力が長持ちすることに繋がるわけですね。

水素添加ポリマースライド
水素添加ポリマーの効果

もうひとつ、エナセーブ NEXT IIIは国が重点産業として後押ししている素材「セルロースナノファイバー」をタイヤに世界で初めて採用しました。その結果、周方向には硬く強いのに径方向にはやわらかいという理想的な剛性コントロールが可能になったとのこと。セルロースナノファイバーは高機能バイオマス(再生可能な生物資源)材料でもあるため、環境負荷低減という点でも優れた製品ということができます。

セルロースナノファイバー
セルロースナノファイバーを世界で初めてタイヤに採用

もともと住友ゴム工業は、持続可能なモビリティ社会の実現に向けて「SMART TYRE CONCEPT」という理念を掲げています。これはエアレスタイヤやセンシングコア、性能持続技術といった同社のテクノロジーを総動員して、交通機関の運営効率向上に貢献し、安心安全なソリューションサービスを備えたタイヤを作ろうというもの。2020年代にはその技術を結集したタイヤを完成させるといいますから、発売が楽しみですね。

エナセーブ NEXT III
エナセーブ NEXT III

(文と写真:角田伸幸)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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