地味ながらもクルマを支えるヨロズのサスメンバー! 溶接→プレス加工の独自技術が光る!!【東京モーターショー2019】

●サスペンションメンバーは地味だけど非常に重要な部品

ヨロズは国内外の多くのメーカーに、プレスや溶接を主体とした様々な自動車部品を供給しているメーカーです。

特にサスペンションメンバー、トーションビーム、サスペンションアーム、リンクといったパーツが主要な製品で、東京モーターショーでも、そういった部品が展示されています。

まぁ、地味といえば地味なんですが、これは話を聞いてみると面白い。まぁ自動車というのは数多くの部品の集まりで、それぞれの部品を作っているプロフェッショナルなメーカーがいるわけです。このヨロズもそのひとつ。

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これはシルフィのサスペンションメンバーです。

上の写真のサスペンションメンバーでは、写真の中央部の上と下とではちがう部材を接合しています。そして、まず平らな状態の部材を溶接で接合してから金型でプレスして成形するというのが、このヨロズの技術だそうです。

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写真の中央付近に横方向に線が入っています。ここが部材を溶接している部分です。

そうすることで、大きな金型が必要にはなりますが、プレスの工程は1回で済むわけです。プレスしてから接合すると、上の部材と下の部材でそれぞれ別の金型を使った、別のプレス工程が必要になるので、コストも高くなってしまいます。

いっぽうで、先に部材を溶接すると溶接のビード(接合部の盛り上がった部分)の部分の盛り上がりまで考慮した金型にしないといけないので、金型の製作は大変なのだそうです。それでも、コストを抑える面では効果が大きいんですね。

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中央の盛り上がった線がが溶接のビードです。この状態でプレス加工されています。

そして、溶接の上側の部材は、衝突安全の性能が重視される部位なので、かなり強いハイテン鋼を使っています。

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この部分は強いハイテン鋼です。

溶接の下側は、むしろ走行性能に影響が大きい部位なので、上側ほどは強くないハイテン鋼を使います。そのほうが成形しやすいので、凝った形状にできるのだそうです。

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この部分は強さはそこそこで、成形がしやすいハイテン鋼です。

サスペンションメンバーやアームなどは、走りの性能に与える影響が大きいので、非常に高い精度が求められるそうです。この部分の精度が低いと、まっすぐ走らなかったり、音や振動が増えてしまったりするのです。

東京モーターショーでは、こんな縁の下の力持ちのような部品メーカーに話を聞いてみても面白いですよ。

(まめ蔵)

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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