世界シェア1位のパワステメーカーは日本のJTEKT(ジェイテクト)。ベテランバス運転手並みの自動運転を実証【東京モーターショー2019】

■人と機械の領域をシームレスに繋ぐ

「兄よ、ジェイテクトって大丈夫?」というCMコピーで知名度を上げているジェイテクト。

1988年、世界で初めて電動パワーステアリングを開発し(スズキ・セルボに搭載)、以来ステアリングシステムの世界シェアでナンバーワンを続ける先進的な企業であり、駆動系部品や軸受(ベアリング)、工作機械の分野でも存在感を示しています。

そんなジェイテクトの東京モーターショーブースは、近未来の自動車のキーワードであるCASEのうち「A(Autonomous=自動化)」と「E(Electric=電動化)」に注力するという意志にあふれていました。

安形哲夫社長
プレスブリーフィングを行う安形哲夫社長

まずは「A(自動化)」。自動運転の領域では、これまで人間が行ってきた操舵をクルマ自身が行うわけですが、ジェイテクトでは各種センサーなどから必要な操舵量を求め、実際にタイヤを操舵するという重要な領域を担おうとしています。

沖縄で行った大型バスの実証実験では、バス停と車体の間隔を40mm±20mmという精度で停車させられる技術を公開し、ベテラン運転手以上のテクニックを見せつけました。

大型車用ステアリングシステム
大型車用ステアバイワイヤシステム
沖縄での実証実験
沖縄での実証実験結果

さらには人間が運転する領域と自動運転の領域をシームレスにつなぐ「ハンズオンディテクション」という制御を熟成。無機的と思われる自動運転に「人間臭さ」を融合しようとしている点も注目される動きです。

ハンズオンディテクション
ハンズオンディテクションに代表される自動運転対応技術

次は「E(電動化)」です。クルマがEV化すると、パワステや駆動系部品もエンジン動力を利用することはできず、バッテリーからの電力で動くことになります。

ジェイテクトでは、パワステの電動化を拡大することはもちろん、オイルポンプや4輪駆動システムなど電動化するという技術を推進しています。またEV用電池の生産システムを提供していることから、電池メーカーのリチウムイオン電池の生産を後押しするような努力も進めていくとのことでした。

リチウムイオンキャパシタとバックアップシステム
リチウムイオンキャパシタとキャパシタを使ったバックアップシステム

ジェイテクトブースでは、こうした取り組みをトヨタ・RAV4のカットモデルや、独自の「Future Concept Vehicle2」などを通して実感することができます。キーワードは「触って欲しい、技術の未来に」。ぜひジェイテクトの未来の技術に触ってみてください!

RAV4カットモデル
トヨタ・RAV4のカットモデル
Future Concept Vehicle2
Future Concept Vehicle2によるデモ

(文と写真:角田伸幸)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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