●ベースモデルとは明らかに異なる走り。緻密な制御で走行性能を飛躍的に向上
東京モーターショーが迫る中、「ニッサン インテリジェント モビリティ テクノロジーツアー」と題し、同社の先進技術に触れられるプレス向けのイベントがありましたのでご報告します。
目玉のひとつが日産が推進している電動化技術のさらなる進化で、「リーフe+」をベースにした4WDモデルの追加になります。単なる4WD仕様の追加ではなく、同社が培ってきた電動化技術、4WD制御技術、シャーシ制御技術を融合し、統合制御することで、クルマの走る・曲がる・止まるを飛躍的に向上させるというものです。
この電動駆動4WD(電動駆動 4輪制御技術)の狙いは、乗員すべてに快適な乗り心地を提供し、卓越したハンドリング、路面を問わない安心感、強く滑らかな走りを提供すること、としています。
リーフやe-Powerを雪上や氷上で走らせると、FFであっても緻密なコントロールが可能で、非常に走りやすいのに驚かされます。しかし、雪国では交差点などからの発進時に少し背中を押してくれるような4WDのニーズが高いそう。
電動駆動 4輪制御技術のアドバンテージとして「1/10000秒の緻密なモーター制御による素早いレスポンスと滑らかな加速の両立」、「あらゆるシーンで発揮できる制御品質の高さ」、「電動駆動の質の高さが、新開発4輪制御技術のポテンシャルを圧倒的に高める」という3つを示しています。
開発中のテストカーは、次世代の量産EV/e-POWERに技術開発を狙いとした車両で、「リーフe+」(62kWh)がベース。EM57が2基積まれた前後ツインモーターで、「リーフe+」からの流用となっています。駆動方式はもちろん電動駆動 4輪制御(4WD)で、システム出力は227kW/680Nm。専用サスペンションとステアリングシステムが搭載されているそう。
1/3という高い当選確率にも関わらず、残念ながらくじ引きで外れてしまい、後席でその走りを体感しました。最初は現行リーフ。その後に、テストカーでテストコースを走るという内容でした。
主なシークエンスとしては、全開加速区間での「力強く滑らかな走り」、減速時の揺れの少なさが体感できる「乗る人すべてに快適な乗り心地」、車両のコントロールのしやすさが分かる「卓越したハンドリング性能」、滑りやすい路面でもコース(スキッドパッド)を逸脱せずに狙い通りのラインを走れる「路面を問わない安心感」という4つ。
現行リーフでも全開加速では、電動駆動らしいスムーズな加速が後席でも感じられますが、前輪(前側)が浮き、後輪側に荷重がかかるような、そんな加速姿勢に感じられます。一方のテストカーは、ツインモーターによる圧倒的な加速でシートバックに押しつけられるような勢いにも関わらず、ボディ上屋が安定していて、後ろ荷重が抑制されている印象。
さらに、減速時には、前後タイヤにかける駆動力を緻密に制御することで、姿勢変化を抑えていて、ヘッドレストに頭をつけていると、現行車よりも頭の動きが抑制されているのが実感できます。
コーナリング時には、路面と車両状態などにより絶えず変化するタイヤの摩擦力を最大に使い切れるように、前後の駆動力が配分され、さらに4輪のブレーキを緻密にコントロール。コーナリング時など、制動時以外にもブレーキを使うことで旋回性能の向上が図られています。
こうしたコーナリング時でもボディコーントロールは現行リーフよりも1枚も2枚も上手のように後席からも感じられます。また、テスト車は、この「電動駆動 4輪制御技術」をオフにして、前後50:50の4WD制御にすることも可能ですが、この固定状態と比べても安定感は当然ながら高くなっています。
なお、テスト車にはタイヤの駆動力配分、4輪ブレーキの作動状態が分かるモニター(イラスト表示)があり、「電動駆動 4輪制御技術」では、旋回時にアンダーステアになると内輪のブレーキをつまむだけでなく、旋回中でも内輪、外輪にかなり細かく駆動力配分とブレーキ制御を行っているのが確認できました。
(文/写真 塚田勝弘)