熟成極まった感のあるTDIは、現行ゴルフの完成形ともいえる仕上がり【VW ゴルフバリアントTDIハイライン マイスター試乗】

●余裕のある設定がゴルフのキャラクターにマッチング

ゴルフに待望のディーゼルエンジンモデルが追加されました。現行ゴルフは2012年秋にドイツで発表、日本では2013年6月から発売されています。現行としてはモデル末期にあたり、そろそろ新型が登場するともっぱらのうわさです。

ゴルフ7-3スタイリング
スキのないキッチリしたスタイリングのエクステリア

そうしたなか、追加されたディーゼルエンジンはゴルフとのマッチングが最高によく、数多く用意される現行ゴルフのパワートレインのなかでもベストな組み合わせといっていいものでした。

このディーゼルエンジンは2リットルターボで、最高出力は150馬力、最大トルクは340Nmとなります。組み合わされるミッションは7速のDSG。WLTCモード燃費は17.7km/L、同高速モードでは20.5km/Lとなります。

ゴルフTDIエンジン
エンジンルームの各パーツのレイアウトもまるでパズルのかのごとくキッチリと収まっている

150馬力/340Nmとなるとさほど力強いエンジンというわけではありませんが、余裕のある設定がゴルフというクルマのキャラクターとじつにマッチングしているのです。DSGのおかげで発進からキッチリとソリッド感にあふれる加速が味わえます。

そのままアクセルをゆったりと踏んでいくと、早め早めのシフトアップが行われますが、シフトショックはほとんどなくスムーズに加速していきます。このあたりの回転を上げてパワーを稼ぎながらといった一生懸命さがなく、余裕の加速感が快適さに輪を掛けます。

ゴルフインパネ
マイスターは液晶メーターが標準装備となる

さらにビックリさせられるのが静粛性の高さです。車外では若干のディーゼル感がありますが、クルマに乗り込んだ状態ではディーゼルのネガティブな部分は伝わってきません。排ガス浄化は3つの触媒と尿素SCRを使ったものを採用し、しっかりとクリーンになっています。新税の環境性能割も非課税となります。

ゴルフ正面スタイリング
真横の水平に入るバーなどが安定感のある表情を作り上げている
ゴルフ 真横スタイリング
全長は4575mm、ホイールベースは2635mm。リヤオーバーハングはそこそこあるが、それを感じさせない走りを持つ
ゴルフ 真後ろスタイリング
左右2本出しに見えるエキゾーストエンド

乗り心地はしっかりと引き締まりつつもゆったりとした感触を持っています。このタイプの乗り心地はドイツ車の得意とするところ。日本車は引き締めると乗り心地が固くなり、乗り心地にゆったり感を持たせると引き締まり感のないものになりますが、それがない部分がドイツ車らしい、ゴルフらしいといったところです。

ゴルフフロントシート
しっかりとしたホールド性を備えるフロントシート
ゴルフ リヤシート
リアにもエアコンの吹き出し口が用意される

今回の試乗車はワゴンのバリアントの特別仕様車のマイスターでした。国産車では、このクラスのワゴンはなく、同クラスの輸入車と比較してもピカイチの存在だと言えます。

価格は405万円と絶対値としては若干高めの設定となりますが、全車標準装備のACCやレーンキープ、渋滞時追従支援に加えて、ダイナミックコーナリングライトや駐車支援システム上級オーディオなどが満載されたフル装備状態なのです。

ワゴンでなくハッチバックで価格を見るとスターティングプライスが323万円となり、マツダ3の上級グレードと同レベル。さほどの高さは感じないレベルとなっています。

ゴルフリヤ7-3スタイリング
抜け目のないスタイリング。後退時はエンブレムが反転して後方確認用のカメラが現れる

おそらく、2019年10月中にドイツで発表、2020年には日本に新型が入ってくるであろうゴルフですが、熟成し仕上がった感じのあるTDIの魅力もかなりのものといえます。

ゴルフ ラゲッジ
通常時605リットル、フルラゲッジで1620リットルの容量を誇るラゲッジスペース

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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