【SUBARU GT EXPERIENCE.4】200馬力の初代レガシィ・ツーリングワゴンは現在でも十分な走り

■時代を感じさせるのは燃料計にリッドの位置を示す▲印が付いていない

昼神温泉で1泊を過ごし、迎えた朝も晴天でした。2日目の第1クールを一緒に過ごすことになったのは初代レガシィのGT。2リットルターボエンジンを搭載するモデルです。1990年代に入ると2リットルターボで280馬力を発生するエンジンが登場しますが、この時代はまだ200馬力に過ぎません。

初代レガシィツーリングワゴン 走り
デビュー時余裕のパワフルさだったターボモデルは今も十分な性能

ドライバーズシートに乗り込むとウエストラインが低くピラーが細いことに由来して、室内はかなりルーミーな雰囲気です。明らかに現代のクルマとは異なりグラスエリアがかなり広くなっています。大きなメーターカバーは垂直にせり上がったセンターコンソールと一体化され、メカニカルなレイアウトとなっています。現代のクルマでは縮小方向にあるATセレクターは7ポジションとかなりの面積が割り当てられています。燃料計にリッドの位置を示す▲印が付いていないのが、時代を感じさせてくれました。

初代レガシィツーリングワゴンインパネ
今のクルマではほとんどないルーミーな室内
初代レガシィツーリングワゴンATセレクター
今はなかなか見ることができない7ポジションのATセレクター。マニュアルモードも備える

Dレンジをセレクトしアクセルを踏み込んでいくと、ちょっと古めの雰囲気ながらしっかりとした加速が始まります。いきなりターボが効くタイプではなく、エンジン回転がある程度上昇してからターボによる過給でトルクが増します。とはいえ、いきなりトルクが太くなるいわゆるドッカンターボではなく、適度にターボが効いていくタイプで扱いやすいものです。

初代レガシィツーリングワゴンエンジン
メカニカル感にあふれる初代レガシィツーリングワゴンのエンジンルーム

試乗車は7万5000kmを超える走行距離でしたが、ショックアブソーバーやブッシュ類の交換はされていませんでした。にも関わらず、乗り心地はさどほ悪くはありません。30年ほど前のクルマがこれほどの性能を維持しているとなかなか感心させられます。どんな工業製品も同じですが、昔のものがきちんと可動しているとその製品の信頼性やその製品を作ったメーカーの信頼性を高く評価したくなるもの。もちろん、そうするためには製品の信頼性だけでなく、オーナーのきちんとしたメンテナンスや、そのメンテナンスに対応できる体制などが大切なのですが、それらができていることは素晴らしいことであることには変わりありません。

初代レガシィツーリングワゴンリヤスタイル
後ろから見てもかなりグラスエリアが広いことがわかる
初代レガシィツーリングワゴン ラゲッジ
リヤサスがストラットだった時代。タイヤハウスはかなり大きい

昼神温泉から目指すのは奈良井宿という古い町並みが残る宿場町です。街中は保存地区となっていて、クルマの乗り入れは禁止されていますが、町に入る直前の線路沿いに駐車場が用意され、そこから容易に街中にアクセスすることができます。奈良井宿は中山道34番目の宿場町です。中山道がきちんと整備されたのは江戸時代ですが、それよりもずっと前の律令時代から道は存在していたといいます。人は移動をする生き物なのです。

初代レガシィツーリングワゴン&レヴォーグ
初代レガシィツーリングワゴンとレヴォーグ、そして後ろを走る鉄道。旅は楽しい

今の時代、遊牧民さえも定住傾向にあると言いますが、それでも移動し、旅をすることを好みます。そのなかで欠かせないアイテムといえるのがクルマだと言えます。鉄道とは違い、道さえあれば自分の好きなコースを選べることができるのがクルマです。人力より速く、人力では運べないものを運べる、その能力は素晴らしいものです。人類の旅にとってクルマほどマッチする乗り物はないでしょう。昔の宿場町を見ていると、旅に対する欲求がどんどん高まってきます。

奈良井宿風景
一般車の通行が禁止されている奈良井宿。古き良き宿場待ちの雰囲気にあふれている

(文・諸星陽一/写真・前田惠介)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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