GT-R顔の改良型スカイライン、新たに追加された3リットルV6ツインターボが熱い!【新型スカイライン試乗】

●数々の改良を遂げ「日産スカイライン」として生まれ変わった、新型スカイライン

「ニッサンスカイラインがカムバックした!」──インフィニティバッヂから日産バッヂに戻され、話題の「プロパイロット2.0」の初搭載やダイムラー製2.0リットルターボから日産製V6ツインターボへの変更、そして405PSを発生する「400R」など、チェックしたい所が満載の改良型スカイラインが発表されて、はや1か月。

このたび、じっくりと試乗することができましたで、元ニッサン自動車開発エンジニアで、過去にV36スカイラインを愛車としていた筆者が、古巣ニッサンに忖度一切なしで、ご紹介します。

写真はV6ツインターボ。リアにはスカイラインの文字が入る。

SKYLINE GT type SP[HYBRID]2WD
車両本体616万0000円(消費税10%税込)

SKYLINE GT type P[V6 TURBO] 2WD
車両本体463万8700円(消費税10%税込)

1.どこが進化した?

今回のビッグマイナーチェンジのトピックは大きく2点。ひとつは日産製の3.0リットルV6ツインターボエンジン(VR30DDTT)の導入、そしてもうひとつは、手放し運転を可能とする「プロパイロット2.0」の初導入です。
※プロパイロット2.0に関しては、別記事にて詳細レポートしていますのでそちらをご覧ください。

このエンジン関しては、北米のINFINITI Q50には数年前から既に導入されていたエンジンです。ローアウトプット(304馬力)とハイアウトプット(405馬力)の2種類を実現しており、キャラクターの異なるクルマとなるように、それぞれセッティングがなされています。

V6ツインターボことVR30型は、日産伝統のVQ型エンジンの進化型にあたる。

シャシーに関しては、今回からDAS(ダイレクトアダプティブステアリング)が標準装備となり、振動がなくすっきりとした印象をうけるハンドリングが感じられるようになったこと、そしてインテリジェントダイナミックサスペンション(電子制御ショップアブソーバー)がメーカーオプション採用されたことなどが、大きなトピックです。

安全性に関しては、360度セーフティアシストシステムを全車標準で装備した点もポイントです。アダプティブLEDヘッドライトシステム、ハイビームアシスト、インテリジェントエマージェンシーブレーキ、標識検知機能、踏み間違い衝突防止アシスト、インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)+ LDW(車線逸脱警報)、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)+ BSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)など、書ききれないほどに装備されています。

2.デザインの変更点は?

写真はV6ターボ。ハイブリッドとの外観上の違いは、フロントフェンダ―後ろ側に「HYBRID」のロゴがないこと。

ボディのラインはV37型スカイラインのままですので、大きく変わった印象はありませんが、日産バッヂへと変更になったのとあわせ、他の日産車と同じモチーフの「Vモーショングリル」へと変更となりました。ヘッドランプやグリル周りの形状から「GT-R」にも見えます。またリップ周りの造形もGT-Rを彷彿させるデザインとなり、スポーティな印象を与えてくれます。

テールランプもこれまでのL字が2つ並んだような造形から、丸目4灯に見えるような造形へと変更されました。このあたりも「スカイラインが戻った」と言われる所以でしょう。なお、V6ターボにはマフラーの出口にドットが周上についており、リアから見た時に、ちょっとしたアクセントになっています。

テールランプは、丸目4灯を強調したデザインとなった。

3.車両の概要は?

スカイラインのボディサイズは4810×1820×1440(全長×全幅×全高[mm])、車両重量はハイブリッドが1840kgでV6ツインターボが1710kg、最小回転半径は5.6mです。なおハイブリッドには4WDも用意されますが、その場合は5.7mと、やや大きめになります。

今回、比較試乗したのは、ハイブリッドのGTタイプSP(2WD 車両本体価格616万0000円)と、3.0LV6ターボのGTタイプP(車両本体価格463万8700円の2台。

ハイブリッドには、メーカーオプションで特別塗装色(インペリアルアンバー 税込44,000円)、BOSEサウンドシステム(税込223,300円)を装備しており、ディーラーオプションも含めた総額は税込653万3682円。

対するV6ツインターボは、メーカーオプションで特別塗装色(オーロラフレアブルーパール 税込44,000円)、アルミフィニッシャー(税込5万5000円)、6:4分割式シート(税込4万4000円)、電動ガラスサンルーフ(税込12万1000円)、BOSEサウンドシステム(税込223,300円)がついて、ディーラーオプションも含めた総額523万2382円です。

なお、ホワイト(非パールホワイト)、ブラック、グレー、シルバー、レッドの4色以外はメーカーオプションの特別塗装色となり、4万円強の費用が掛かります。全10色あるうちの6色が特別塗装色ですので、良い色を選ぶと課金させられるのは、やるせない気持ちになります。

写真はハイブリッド。3.5リットルV6エンジン+モーターの加速は相当に速い。

5.エンジンスペックは?

パワートレインは、3.5リットルハイブリッドはシステム最高出力364ps(268kW)。エンジン最大トルク35.7kgfm(350Nm) /5000rpmとモータートルク29.6kgfm(290Nm)による、胸のすく加速をします。1モーター2クラッチシステム、そして高出力なリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、静かかつ俊敏なレスポンスをもち、フル加速時は圧倒的なモーターアシストによるパワーを発生します。

日本初登場の3.0リットルV6ツインターボは最高出力304ps(224kW)/6400rpm・最大トルク40.8kgfm/1600-5200rpm。最新のエンジン技術で、なめらかかつシャープなレスポンスを実現し、高効率な燃費も実現しています。

燃費は、ハイブリッドがJC08モード燃費で14.4km/L(4WDは13.6km/L)、V6ツインターボがWLTC燃費で10.0km/Lと、現代のクルマとしては決して良くありません。ただ、それを踏まえたとしても、選びたくなる魅力にあふれたエンジンでもあります。

高速道路のみであれば、V6ツインターボも12km/Lはなったが、全行程では8km/Lと決して良いとは言えない燃費だった。

このように、言葉で並べて書くだけだと、何らこれまでのスカイラインと変わらない様な印象を受けますが、乗ってみると、後者のV6ツインターボエンジン、非常に「心地よい」フィーリングなのです。

まとめ

別記事で、ハイブリッドとV6ツインターボについて使い勝手や試乗してみて感じたエンジンの違い、2台の走りの特徴などを比較し、レポートをしていきます。次回は、室内の広さや荷室の使い勝手を定規で測って比較をした結果をご紹介します。

「HYBRID」と「V6 TURBO」のグレード構成は、ともに、上から「GT Type SP」「GT Type P」「GT」となっています。なお4WDは「HYBRID」にしか用意されていません。価格は以下のとおりです。(消費税10%計算)

3.5リットルV型6気筒ガソリンエンジン+モーター(VQ35HR-HM34)
スカイライン[HYBRID] 2WD GT Type SP/GT Type P/GT   616万円/581万6800円/557万5900円
スカイライン[HYBRID] 4WD GT Type SP/GT Type P/GT   644万円4900円/610万1700円/586万0800円
スカイライン[V6 TURBO]  GT Type SP/GT Type P/GT   490万円8200円/463万8700円/435万3800円

(文:吉川賢一/写真:鈴木祐子)

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
続きを見る
閉じる