2013年モデルのGT-Rをニスモがチューニング。ニュル最速仕様をリファイン【ニスモ GT-R クラブマンレーススペック】

●ニュル最速を日本向けにリファインしたサスペンションなど各部を徹底チューン

ニスモが2013年モデルのGT-Rをベースに全身に手を入れまくった、カスタムコンセプトモデルをチェックしてきました。会場は『ワークスチューニング グループ合同試乗会』が行われたツインリンクもてぎ・北ショートコースです。

このニスモのGT-Rにはクラブマンレーススペック(CRS)という名前がついています。

サーキット走行を楽しんで、そのまま公道を走って帰れるというコンセプトですが、どちらかというとサーキットのほうに重きを置いてます(毎日公道を乗るタイプの車両ではありません)。

まずはエクステリアをチェックしてみましょう。

ドライカーボン製のボンネットフードは開発中のもの。インテークとアウトレットが大きく開いています。また、フロントアンダースポイラーがセットされています。

サイドを見てみます。オリジナルフロントフェンダーは後端部分がスポイラー形状になったニスモ独特のもの。

FRP製のサイドスカートセットも装着されています。

ホイールはGT-Rニスモ純正(2017年イヤーモデル用)を装着しています。

リヤに回ってみると、ドライカーボン製のアドオン リアスポイラーがセットされていることがわかります。

VR38DETT型のV6 3.8Lツインターボユニットはニスモの『S1エンジン』と名づけられるコンプリートメニューが施されています。

これはオーバーホールと同時にチューニングがなされることを前提としたもので、GT3仕様カムシャフトや2011年モデル用純正タービン等を専用コンピューターがインストールされてるんでした。

最高出力は2017年モデルの標準車、最高トルクについてはGT-Rニスモ(市販車)並みとすることを前提としています。また単純に数値を上げるだけではなくフラットトルクタイプとして乗りやすさも追求したとのこと。

排気系ではスポーツキャタライザーや、純正品に対して8kgの軽量化がなされるスポーツチタンマフラーを採用しています。その排気音は大変野太いものですが、回転を上げていくと高音が響く仕様。

さて今回、スーパーGT等への参戦経歴が長いレーシングドライバー・柳田真孝選手がドライブするGT-Rの助手席に同乗することができましたのでレポートします。

ツインリンクもてぎ・北ショートコースは全長約1km、コーナー数12、メインストレートの長さは142mのコンパクトなコースです。

このコースに対して大柄なGT-Rは持て余すかと思いきやさにあらず。大変レスポンス良く、そしてスムーズに吹け上がるエンジンによって数十m程度の、ごくごく短い距離で一気に加速していきます。

またエンジン自体のレスポンスに加えて、チューニングの際に同時にリファインされている6速ツインクラッチの、制御の滑らかさにも驚きます。

コーナリングではサスペンションの良さが光りました。サスペンションはオーリンズのNISMOオリジナル仕様。2013年にニュルブルクリンク量販車最速タイムの7分08秒679を記録した際に使用したものがベース。

サーキットを走った際にベストとなるようなセッティングにリファインされています。

この同乗走行の直前にストリートに似たクローズド路面で試乗した際には、乗り心地が硬めに感じられたのですが、ここでは違います。しっかりと荷重がかかった領域では非常にしなやかに動きます。

前後のピッチもロールもクイックですが、ガツンとした衝撃がなくスムーズなのです。このため前後左右に激しくGがかかっているにもかかわらず、同乗する記者は快適そのもので車両の動きを観察する余裕がありました。

自分ではニスモCRSの性能をしっかりと引き出すことはできませんが、その懐の深さは十分に理解できる同乗体験でした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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