実用上不足を感じさせないディーゼルエンジンと正確なハンドリングを実現する硬派な走り【フォルクスワーゲン・シャラン試乗記】

●シャランTDIの走りはいかに?

フォルクスワーゲンの7人乗りミニバンであるシャランに、2.0LディーゼルエンジンのTDIが搭載された「シャランTDIハイライン」が追加されました。

フォルクスワーゲン シャラン
フォルクスワーゲン・シャランに加わった2.0Lディーゼルエンジン仕様の走り

2.0L(1968cc)直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、最高出力177PS/3500-4000rpm・最大トルク380Nm/1750-3250rpmというスペック。同時に追加されたゴルフ向けの2.0Lディーゼルエンジンも同じ1968ccですが、こちらは150ps/3500-4000rpm、340Nm/1750-3000rpmとなっています。

フォルクスワーゲン シャラン
フォルクスワーゲン・シャランの2.0L TDIエンジン

ゴルフ、シャランともに「EA288」型のディーゼルエンジンを搭載し、重量差に対応すべくシャランは高出力仕様になっています。シャランTDIの1900kgという車両重量に対して、ゴルフ/ゴルフヴァリアントTDIは1430kg〜1490kg。なお、最大トルクの差から組み合わされるトランスミッションは、ゴルフ用は湿式の7速DSG、シャラン用は湿式の6速DSGになっています。

フォルクスワーゲン シャラン
フォルクスワーゲン・シャランTDIは6速DSGを搭載

シャラン用は177PS/380Nmまで最高出力・最大トルクともに引き上げられていますが、1.9tという車両重量があるため、湧き上がるようなトルク感まではなく、高速域のパンチ力もそれなり。ただし、高速道路の巡航や山道での登り坂でも実用上、モアパワーを抱かせるシーンはほとんどなく、ロングドライブでも快適な走りが楽しめます。

フォルクスワーゲン シャラン
試乗車の装着タイヤは、225/50R17サイズのコンチネンタル「コンチプレミアムコンタクト2」

225/50R17サイズのコンチネンタル「コンチプレミアムコンタクト2」を履く乗り心地は、かなり硬質で、荒れた路面では上下動が大きくなりがち。多人数乗車のミニバンだけに、もう少し優しい乗り味の方がおもてなし感が増すと思いますが、正確なハンドリングにより、ドライバーの疲れを誘わないのも確かかもしれません。

フォルクスワーゲン シャラン
電子制御ディファレンシャルロックの「XDS」を搭載し、高速コーナリングでのアンダーステアを抑制

装備は、ガソリンエンジンのTSIハイラインと同様に、全車速追従機能付のアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストシステムなど長距離ドライブでうれしいドライバーサポート機能を標準装備。

電子制御ディファレンシャルロックの「XDS」も搭載。「XDS」は、高速域でのコーナリング中にブレーキを制御し、アンダーステアを低減させることで正確なハンドリングを引き出すもの。今回の試乗ではXDSの効果を実感するようなシーンはありませんでしたが、シャランTDIの走りの魅力を引き上げる装備もスタンバイしています。

(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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