もとはトヨタといっしょでも、特別なブランドイメージに染まっていくのがレクサススタッフ!【元営業マンが語る!】

トヨタとレクサス、元は同じメーカーですが、レクサスは独立した一つのブランドとして認知されてきています。レクサスのお店も、スタッフも、トヨタのお店とは雰囲気が違うものです。しかし、雇用されている会社はトヨタもレクサスも同じ会社になります。今回は、元レクサスディーラー営業マンが、トヨタとレクサスの営業マンは何が同じで何が違うのか?について解説していきます。

■レクサスの成り立ちを知ると実態が見えてくる

1989年に北米で産声を上げたレクサスブランドが、日本国内に導入されたのは2005年です。それまでの、トヨタ・トヨペット・カローラ・ネッツの4チャンネルに加えて、独立した事業部をもつレクサスブランドが国内で運営を始めます。

といっても、レクサスを導入するにあたり、完全に別会社を設立したわけではありません。この時にトヨタ自動車は、全国各地にある販売会社へ「レクサス店を運営したいか?」という質問を投げかけます。ここで手を上げた全国の販売会社が元のチャンネルを持ちながら、並行してレクサス店の開設をしていきます。そして2005年8月に全国143店舗のレクサス販売店がオープンしたのです。

●元はトヨタの営業マン? レクサススタッフになるには

レクサス開業に名乗りを上げた全国各地の販売チャンネルをもつ販売店は、自社の従業員からレクサスに配属するスタッフを選定します。簡単にいうとお店の転勤を命ずるわけです。つまり、トヨタ販売店で働いていたセールス、事務スタッフ、エンジニアをレクサスに異動させるので、レクサススタッフの元々はトヨタ販売店で働く従業員です。

レクサス専従の特別スタッフを採用するわけでもなく、会社ですのでレクサス販売店からトヨタ販売店への異動も考えられます。特別給与が高いということもなく、会社での待遇はトヨタ時代と何ら変わりません。

筆者自身も、金融業から転職しトヨタ販売店へ入社したのち、約1年間はトヨタブランドのショールームで営業を行い、その後レクサスへ異動しました。入社当時からレクサスへ行くことが決まっていたわけでもなく、レクサスへの異動は突然切り出され、自分でも想像していないことでした。

●レクサスブランドの「特別」

給与も待遇も評価も、レクサスに異動になったからといってトヨタ時代と全く同じです。レクサス特別手当のようなものは一切ありません。その中で、トヨタのクラウンオーナーを超える、超重要顧客を任され、高いレベルの応対スキルを求められるので、普通は給料が同じで仕事が増えるのでは割に合いませんね。

しかし、不思議なことに、レクサスブランドの一員となると、「仕事が増えた、給料は増えない」という考えが全くなくなります。配属され、チームレクサスに入った誇りと、レクサスとしてのプライドが芽生え、特別な世界に自分が染まっていきます。

レクサススタッフになるための基準というものは見たことはありませんし、明確に定めたものもないと思いますが、レクサスの一員になると、メーカーへの登録が義務付けられます。お客様へのブランドイメージの構築もそうですが、働く側へのブランドイメージの構築を非常にうまく行い、働く現場にも「特別」を感じられる組織が、レクサスです。

元は同じトヨタ社員でも、レクサスで働くスタッフは「自信」「誇り」「ブランド愛」が高い次元で確立され、全く性質が異なります。トヨタ販売店約5000店のうちの180店舗あまりしか存在しないレクサスで働くことは容易なことではなく、選ばれしものが集う場所であることは間違いないでしょう。

●まとめ

トヨタにはトヨタの、レクサスにはレクサスのブランドがあり、そのブランドイメージを販売会社任せにせず、メーカーが統率力を強めて引っ張っているのがレクサスです。運営母体である販売会社もレクサス店には特別な感情を持ち、独立事業部としてトヨタ店舗の考え方から棲み分けを行っています。今レクサスで働く人も、元々レクサス店舗にいた人も、トヨタ販売店の一員ですが、レクサスに携わった人は、高い人間力を備えた人であることに間違いありません。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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