「ID.3」の電気駆動システムは、主にパワーエレクトロニクスとギアボックスを含む永久磁石同期モーターから構成されていて、これらはリヤアクスルに一体化。フラットな高電圧バッテリーは、スペースを節約するためにアンダーボディに効率的に配置されています。さらに、エアコン用コンプレッサーやステアリングラックといった補助ユニットも、フロントエンドにコンパクトに収められています。
パワーエレクトロニクスは、モーターとバッテリー間の高電圧エネルギーフローを制御します。このプロセスでシステムはバッテリーに蓄えられている直流電流(DC)を駆動モーター用の交流電流(AC)に変換。12V DC電装システムには、DC/DCコンバーターから低電圧が同時に供給されます。
モーターの駆動力は、1速ギアボックスを介してリヤアクスルに伝達され、モーター、パワーエレクトロニクス、ギヤボックスは、1つのコンパクトなユニットを構成しています。アンダーボディに配置されたバッテリーによって、「ID.3」の重心はレーシングカー並みに低くなり、ニュートラルなハンドリング特性というプラスの効果をもたらすそう。「ID.3」は、理想的な前後重量配分も特徴としており、後輪駆動と組み合わせることによって、優れたパフォーマンスが実現しています。
充電時間は、100kWの急速充電器の場合、「ID.3 1ST」は、30分間で約290km(WLTPモード)を走行可能なエネルギーを充電することができるそう。これにより、小型車セグメントにおいて、従来よりも大幅に長い航続距離を実現したとしています。「ID.3」に搭載されるバッテリーは、8年間または160,000kmの保証付になります。
EV専用設計モデルらしく、時代を先取りしたデザインを備えながら、広々とした室内空間を確保。ゴルフと同等のボディサイズを備え、同クラスの中でも最も広いインテリアを実現しているそう。なお、ドイツにおける量産モデルのベース価格は、30,000ユーロ未満で、予想される政府補助金(大衆向け電気自動車)が控除された車両価格は、一般的な小型車の価格と同等レベルになるとしています。販売はお膝元ドイツで2020年半ばからとしています。
(塚田勝弘)