●トルクで走らせるディーゼルモデル、軽快なフットワークのガソリンモデル
フォルクスワーゲン・ゴルフに追加されたTDI仕様。2.0Lの直列4気筒DOHCターボは、150PS/340Nmというスペックで、WLTCモード燃費は17.7km/Lです。
燃料はもちろん軽油ですので、プレミアムガソリンを指定する1.4LガソリンターボのTSIよりもランニングコストの面で有利。軽油とプレミアムガソリンの差は、リッターあたり20円ほどあります。
今回試乗したゴルフ・ヴァリアントの「TDI Highline Meister(マイスター)」の価格は405万円。同じゴルフ・ヴァリアントで1.4Lガソリンターボの「TSI Highline Meister」は373万9000円で差額は約30万円ですが、重量税の免税やCEV補助金の対象になっていて、燃料の差額分以外のメリットもあります。
今回、ゴルフ・ヴァリアントの「TDI Highline Meister」と「TSI Highline Meister」を乗り比べる機会がありました。
ガソリンターボの「TSI Highline Meister」は、ディーゼルターボの「TDI Highline Meister」よりも110kgも車両重量が軽く、箱根の山で走らせると低速域から少し飛ばした際も軽快なフットワークが際立っています。
1.4LガソリンターボのTSIは140PS/4500-6000rpm、250Nm/1500-3500rpmというアウトプットで、2.0LディーゼルターボのTDIは150PS/3500-4000rpm、340Nm/1750-3000rpm。
10PS/90Nmもディーゼルエンジンの方が上回っていますが、先述した110kgの重量差、そしてTDIが湧き出るようなトルク感で走らせるのではなく、踏めば応えてくれる実用エンジンであることも考えると、短距離(短時間)中心であれば、軽快な走りを披露してくれるTSIも大いに魅力的に思えました。
短時間の試乗でしたが、気になる乗り味は両パワートレーンともにフォルクスワーゲンらしい硬めなもので、重量がある分、ディーゼルエンジンの方が若干落ち着きのある乗り心地かな、と感じる程度の差といえます。
もちろん、音や振動面で有利なのがガソリン仕様の方で、街中の短時間の乗車が中心であれば静かであるのもメリットでしょう。
ディーゼルエンジンのTDIの追加により、モデル末期でも引き合いの多そうなゴルフ/ゴルフ・ヴァリアント。可能であれば、両方を乗り比べて、走らせ方を考慮して選択するのがもちろんベストです。
また、ゴルフ・ヴァリアントを購入される方は、多くの荷物を積み込んで長距離も走るというニーズがあるはずで、ガソリンターボとの価格差を考慮してもステーションワゴンとの相性もいいディーゼルを指名するもアリだと思います。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)