走り出す前に運転席や後席に乗り込むと、低床設計と高めのシート高による乗り降りのしやすさに気がつきます。N-BOXよりも座面の高さを低く抑えることで、小さな子どもやお年寄りが乗り降りしやすいのは新型タントでしょう。
運転席からの視界はワイドで、しかもすっきりしています。左右の死角を減らすことで安心してステアリングを握れる設計になっています。
比較的アップダウンの多い郊外路で走り出すと、背が高いにも関わらず、コーナーでボディがグラリと大きく傾くことなく、重心も低くて意外にしっかりしているのが印象的。もっと背の高い超スーパーハイトワゴンであるウェイクは、直進安定性や横風などの外乱解消を重視したためか、コーナーでは曲がりにくく感じることもありますが、新型タントは足腰がしっかりしているようなコーナリングを披露してくれます。走り云々するようなモデル(クラス)ではないにしても、安心感の高さは歓迎できます。
また、ベルトに加えてスプリットギヤを組み込んだ新開発CVTによる変速フィールも、CVTにありがちな音と加速のズレが起きにくく、発進時から欲しい加速が引き出せます。なお、NAとターボエンジンでは、最大トルクが92Nmから100Nmに引き上げられたターボの走りが当然ながら力強く、アクセルを踏む量もそれほど要りません。複数で乗る機会が多く、荷物が多かったり、長距離も走ったりするのであれば、ターボを選択したいところ。
なお、タイヤサイズは、ノーマル仕様の14インチ(155/65R14)と、「カスタム」の15インチ(165/65R15)があり、後者の方がボディの揺れが少なく、よりフラットライドという印象を受けました。14インチタイヤ装着車は、大小問わず揺れが収まるのが長く感じられます。15インチ装着車の方がより高価なダンパー(硬めのチューニングも)が使われているそうで、その影響もありそうです。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)