Q2オーナーが(やや悔しそうに)チェック! 新登場したアウディQ8の魅力とは?

■Q8の発表会にQ2オーナーが紛れ込んだ!

●会場で感じた悲喜こもごもとは?

ラグジュアリーSUVの世界が新車ラッシュになっております! もともと魅力的なモデルがそろう激戦区だったのですが、4月にポルシェがカイエンクーペを投入すれば6月にメルセデス・ベンツがGLEをフルチェンジ、すかさずBMWもX7を発表するという過熱っぷり!

こうなるとアウディも黙ってはいません。本国からはQ7のマイナーチェンジやらSQ8登場といったニュースも聞こえてきていますが、ここ日本では、満を持してニューモデルQ8をリリースしました。

●ハイエンドSUVにはQ7があるじゃない!

Q8を一言でいうと、4ドアクーペを思わせるフルサイズSUV。すでにアウディはこのセグメントにQ7を持っていますが、なぜまた競合しそうなモデルを?

しかしその答えは極めてシンプルでした。発表会の冒頭、挨拶に立ったアウディジャパンのフィリップ・ノアック社長は「SUV市場が成長を続けているから」とひと言。中でも今のマーケットでは、全高が低くてワイドなクーペスタイルのSUVが非常に好調とのことで、まさにQ8は市場が待ち望んでいる1台だったのですね。ちなみにアウディの予測によれば、同社におけるSUVのシェアは2025年には50%まで伸びるとのこと。アウディの2台に1台はSUVに!

さて、Q8の魅力といえば、340psを発揮するV6直噴ターボや48V系マイルドハイブリッド、最新の運転支援システムなど、いろいろあると思うのですが、決め手はやはりそのスタイルだと思います。がっしりした躯体に、高さを抑えたウインドウグラフィックの組み合わせは、まさに「ザ・SUVクーペ!」

しかし! あえてここで私はいいたい。「Q8はQ2の真似っこではないか」と。そう、アウディのSUVラインナップで一番ちっこい、エントリーゾーンを担うあのQ2ですよ。 なにを隠そう筆者の愛車はイエローのQ2。実はQ8のスタイルを始めて見たときから、「同じじゃん!」と思い続けてきたのです。特に真横から見たときのシルエットは、サイズの違いこそあれそっくりじゃありませんか。まあ値段は3分の1ですが(涙)。

●クーペ系SUVのお手本になったのは?

発表会では、Q8のエクステリアデザインを手がけたフランク・ランバーティさんが、Q8のデザインストーリーについて話してくださいました。

もともとQ8は、「Q7のルーフラインのバージョン違いを作る」というアプローチから始まったのだそうです。しかし社内からは「BMW X6と同じクルマを作ってどうする」という声が上がり、結局ボディをイチからデザインすることに。そこでテーマとされたのが、アウディの偉大なアイコン「スポーツクワトロ」です。スポーツカーの世界に4WDを持ち込んだ張本人。WRCでも大活躍したよなあ(遠い目)。

 

そのスポーツクワトロから引用されたのは、力強いCピラーと張り出したブリスターフェンダー、そして精悍さを生む黒いフロントマスクだったといいます。そしてこのデザインテーマは、どうやらアウディのクーペ系SUV(Q2含む!)すべてにしっかりと共有されたもよう。たしかに幅広のCピラーやブラックアウトされた黒いシングルフレームグリルはQ2もしっかり採用しています。なんとわがQ2にスポーツクワトロのモチーフが隠れていたとは! 感無量であります!

●いろいろとジェラシーなポイントが

もうこれだけで発表会に満足した筆者でしたが、主役のQ8を改めて眺めると、なんかいろいろと「勝てない」点が見えてきました。

最大のジェラシーポイントは、Q2が唯一スポーツクワトロから継承できなかったブリスターフェンダー。Q8ではしっかりと前後のフェンダーが張り出していて癪に障ります(笑)。ウインドウを囲む枠がないサッシュレスドアも同様。ウインドウ回りがすっきりして、クーペらしさを強調するのです。

左右がつながった横長のテールライトも悔しい。A7やA8などハイエンド系アウディにそろって採用されているフィーチャーなんですが、ダイナミックターンインジケーター(いわゆる流れるウィンカー)が実に優雅なんです。Q2にも流れるウィンカーは付けられるのですが、テールライトが食パンみたいに四角くて、イマイチ流れてる感に乏しい。

●MMIはタッチパネル式に進化

嫉妬は車内に乗り込んでも続きます。すべてがゴージャスなのは許せるとして、一番ショックなのはタッチディスプレイ式に進化したMMI(マルチ・メディア・インターフェイス)。Q2では丸いダイアルをクリクリして操作しましたが、Q8ではほぼスマホと変わりないタッチパネル式へと移行しました。しかもディスプレイ部分が押しやすい絶妙な角度に傾いているうえ、ピアノブラック調のダッシュボード内に完全一体化。高級な液晶テレビといった仕上がりです。

うーむ。というわけで今回のバトルはQ8に軍配を上げないわけにはいかないようです(そんなバトル誰も頼んでいませんが)。モダンな東京都現代美術館に置かれたQ8は文句なしにかっこいい! 買えるものなら筆者も手に入れたいと思いました。参考までにQ8の価格は992万~1,102万円。それでは会場より撤退いたします!

(文・写真:角田伸幸)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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