【自動車用語辞典:運転支援と自動運転「自動駐車」】駐車時の煩雑な操作を支援してくれる便利な機能

■ステアリングだけでなくブレーキ、アクセル、シフト操作も支援

●2003年にトヨタが初めて実用化

自動運転のひとつである自動駐車は、すでに実用化されている駐車支援から、現在は完全自動駐車に向けて開発が進んでいます。

自動駐車の開発状況と最新の技術動向について、解説していきます。

●自動駐車とは

駐車時にステアリング操作を支援する駐車支援機能は、ドライバーのストレスを軽減し、事故を減らす効果があります。さらに、狭い場所でも駐車できるので駐車場不足の解消にも貢献することから、自動運転とともに積極的に開発が進められています。

世界で初めて駐車支援を実用化したのは、2003年のトヨタ駐車支援「インテリジェントアシスト」です。

クルマをバックする位置に止めて、シフトを[R]に入れて操作ボタンを押せば自動でステアリング操作をしてくれます。アクセルとブレーキの操作は、ドライバーが行いますが、操作の負担はかなり軽減できます。日産やホンダなども同様のシステムを市販化しています。

●自動駐車の仕組み

初期のステアリング操作だけの支援から、現在はブレーキやアクセル、シフトも操作対象とする自動駐車に進化しています。

自動駐車のために必要なセンサーとしては、超音波センサーとカメラがあります。駐車のスペースを検知するためには、超音波センサーが必要で夜間や悪天候でも障害物を検知でき、距離が認識できます。白線や駐車枠を認識し、移動物体を検知するためにはカメラが必要で、分解能が高く状況を画像で表現できる特徴があります。

高度な駐車機能を実現するため、一般には超音波センサーと全周囲カメラの両者を組み合わせて使います。

●日産・リーフのプロパイロット・パーキング

2017年発売の新型リーフの自動駐車システム「プロパイロット・パーキング」は、ステアリングとアクセル、ブレーキ、シフトを自動制御する先進の自動駐車システムです。並列・縦列駐車、前向き駐車、後向き駐車に対応可能です。

4つの高性能カメラのリアルタイム画像処理と車両周辺12基の超音波センサーによって、周辺状況を認識しながら自動駐車を実現します。障害物や歩行者が接近すると、自動的に停止し安全を確保します。

操作手順としては、まず起動スイッチを押してクルマが駐車可能なスペースを検出します。あとは、パーキングスイッチを駐車完了まで押し続ける(離すと車両は停止)だけです。さらに駐車が完了すると、自動的に電動パーキングブレーキを作動させてシフトを[P(パーキング)]に入れます。

●ダイムラー・Sクラスのリモート・パーキングアシスト

2017年に部分改良したダイムラーのSクラスは、縦列駐車や並列駐車が可能なリモート駐車機能を搭載しました。車両周辺に装着した12基の超音波センサーによって検出した駐車スペースに、車外のスマートフォンを使って遠隔操作で自動駐車できます。

操作手順は、まず起動ボタンを押してクルマが駐車可能なスペースを検出します。駐車スペースや駐車形態を選択して、駐車機能を開始させます。ドライバーは、シフトをパーキングに入れて降車し、車外からスマホのアプリでリモート駐車を行います。

車両は、ドライバーの管理下にあることが大前提なので、スマホの画面で操作している間だけ動くようになっており、またクルマから3m以内にいる場合に機能するようになっています。

●自動駐車の先にある技術

自動駐車のその先にある注目の技術が、「自動バレーパーキング」です。ホテルやショッピングモールなどの大駐車場で、ドライバーが駐車場まで行かずに降車し、クルマが自ら駐車場内を走行して自動で駐車するシステムです。


自動運転は特に必要ないが、駐車操作は面倒なので自動駐車はぜひ必要という人は多いです。自動運転による走行よりも、技術的、法的なハードルが低く、ニーズの高い自動駐車の方が先行的に普及すると思います。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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