機械的にキャンセル! アナタの知らないアクセル&ブレーキペダルの世界【ペダル踏み間違い時加速抑制装置3】

■安心して運転できる期間を増やすために、踏み間違いによる急加速をペダルの変更で防ぐ!

・アクセルを踏んでもブレーキがかかるペダル、踏み違いが起こらないペダル、手で操作するブレーキ

このジャンルは操作するハードウェアの変更が主体となります。

ハードウェア的にフル加速しようとすると急ブレーキがかかる装置や、アクセルとブレーキ、相反する操作を似た動作で行わないようにする装置、それに手動でブレーキを操作する装置があります。

■アクセルを深く踏み込むとブレーキに

STOPペダル/ナンキ工業

適合車種
既存車両ほとんどの車両に取付可能

・価格
9万9800円+税(工賃別)

ナンキ工業のSTOPペダルは、独自の連結装置でアクセルペダルとブレーキペダルを接続。通常走行時のアクセルワークでは接続部分はフリーになっておりノーマルと変わらない状態で使用できます。

一方、アクセルペダルを強く踏んだ時には、ブレーキペダルとアクセルペダルが連結され、アクセル系統との接続を解除。結果、アクセルペダルを強く踏むという動作が、ブレーキを強く踏むと同じ意味になります。

つまり、アクセルペダルを踏んでもブレーキペダルを踏んでも、ブレーキがかけられるコトになるのです。

アクセルとブレーキの双方を同時に踏むと、ブレーキが優先されるブレーキオーバーライドシステムが付いているクルマならば、少しでもブレーキがかかれば、アクセルを絞ってくれます。
このシステムではさらに踏み込んで、多くの場合、急制動をしてくれるというコトになります。

なお、アクセルペダルの接続の加減は無段階で調整可能なので、ドライバーの踏力とも相談ができます。

■踏み間違いが起こらないペダルに交換

ワンペダル/ナルセ機材

・適合車種

オーダーメイドにつき取り付けの可否は要問い合わせ。
WEBサイトに取付車種の実績一覧あり

・価格

シングルタイプ(右足操作用) 17万円+税
ダブルタイプ(両足操作用) 23万円+税

ナルセ機材のワンペダルは、ペダリング動作をアクセルとブレーキで分けてしまおうという装置です。
踏み込んでブレーキ、足を横にスライドさせてアクセルという操作になります。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置に共通するのが、あくまでも踏み間違えてからアクセルの制御をし、その後の加速を抑制する装置であること。

いっぽうワンペダルは、アクセル操作時に踏み込むという動作をしないので、踏み間違いが起こらないという装置です。

また横スライド方式のアクセルですが、うっかり足が滑っても一定の角度を超えるとアクセルは閉じる仕組みになっています。さらにブレーキのためにペダルを踏み込むとアクセル操作はキャンセルされるようになっています。

踏みかえがないので、制動に入るまでの時間も短縮できるのもメリットとして上げられています。また基本ペダルには足を乗せっぱなしになりますが、乗せた状態ではブレーキランプが点きっぱなしにならないよう調整をします。

シングルタイプはアクセルが右へのスライドで開くタイプ、ダブルタイプは左右両方とものスライドに対応するタイプです。

■ブレーキ操作をハンドレバーでも

KIVI ハンドブレーキ/オフィス清水

・適合車種
国産車輸入車問わずほとんどの車に装着可能

・価格
国産車で概ね13万4000円〜15万円+税(工賃込み)

オフィス清水が取り扱うKIVI ハンドブレーキは、ブレーキペダルにつながった手動ブレーキレバーを設置するというもの。

緊急時に目に入りやすい場所にレバー式のブレーキを配することで、ペダルを急に踏み変えるという動作が難しい場合でも、ブレーキを操作できるというものです。

ブレーキオーバーライドシステムが装備されているクルマならば、軽くブレーキがかかれば、アクセルを抑制してくれるので、さらにメリットがあります。

純正のブレーキペダルでも従来どおり操作できるので、通常はペダルで制動し、いざという時に使う。
といった方法もあります。

信号待ちの停止時に、ペダルを踏み込み続ける代わりにレバーを押し続けることで、停止保持するといった、便利な使い方もあります。
坂道発進時にも有効かもしれません。

■ひとくくりにはできないハードウェア

・機種によって考え方が異なるが、共通するものも

今回紹介した3機種は、それぞれ踏み違いに対しての解決のアプローチが異なり、またそれに合わせたハードウェアを用いているのが特徴です。

いずれも、運転方法が難しくなったら即免許返納というのではなく、自動車の操作方法そのものを変えることで、ドライバーがもう少し安心して運転できる期間を増やすコトができるのではないか……という考えをもっている装置であるという点では共通しているともいえましょう。

(古川教夫)

この記事の著者

古川教夫 近影

古川教夫

1972年4月23日生。千葉県出身。茨城大学理学部地球科学科卒。幼稚園の大きな積み木でジープを作って乗っていた車好き。幌ジムニーで野外調査、九州の噴火の火山灰を房総で探して卒論を書き大学卒業。
ネカフェ店長兼サーバー管理業を経て、WEB担当として編プロ入社。車関連部署に移籍し、RX-7やレガシィ、ハイエース・キャピングカーなどの車種別専門誌を約20年担当。家族の介護をきっかけに起業。福祉車輌取扱士の資格を取得。現在は自動車メディアで編集・執筆のほか、WEBサイトのアンカー業務を生業とする。
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