ガッツリ昭和なOPTION誌を紹介している「Play Back The OPTION」。今回は1986年エキサイティングカーショー(現:東京オートサロン)でチューニングカー部門・優秀賞を受賞した「ALFA(アルファ)」のMR2ゼロヨン仕様を紹介しましょう。
今現在も、アルファ・三沢社長や当時のアルファ・スタッフだった方、またアルファのお客様だった方々とも交流を持てているのは嬉しい限り。ではさっそく見ていきましょう!
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●東京エキサイティングカーショー・優秀マシン独占直撃試乗「アルファMR2」
■生まれて初めて、乗って、踏んで12秒台!
軽くレーシングする。タコメーターの針は8000rpmまで跳ね上がり、気持ちのいいレスポンスだ。
4A-GをベースにMR2でゼロヨン11秒台を狙うこのアルファMR2は、過去RRCドラッグで12秒41というタイムを叩き出している。もちろん、4A-G搭載車ではトップタイムだ。が、今回はHKSの83mmロングストローク(ノーマルは77mm)を持つ鍛造クランクシャフトなどを組み込み、1.6Lから1.8Lに排気量をアップ、中速域でのトルク向上を計っている。その証拠に2000rpmも保てばいたってフレキシブル。これがゼロヨン仕様かと思うほどだ。
ゼロヨン1発目。6000rpmを保ちクラッチミート。軽量化されたボディに約300psのパワーは強烈。マシンが左右に振られ一瞬ドキッとするが、ステアリング修正で立ち直りホッ。レブリミットは1万1000rpmまでOKとのことだが、1発目はテスト走行のため各ギヤは8000rpmでシフトアップ。この回転まではエンジンの振動もなく、パワーの落ち込みも感じられない。ブースト1.0kg/cm2! ゴール地点は3速8000rpmで通過する。
タイムは12秒56! しかもタイヤは一般ラジアルのアドバンHF-Rだから凄い。ホント、この加速にはぶったまげた。
2回目のアタックに期待がかかったが、残念なことに電気系のトラブルが生じリタイヤ。ドラッグスリックであれば11秒台は叩き出せただろう。
L型やロータリーがゼロヨン主流の時代に小排気量エンジンで挑むアルファMR2。最大出力300ps/7000rpmを絞り出す4A-G改5A-Gエンジンは、ここ一発というときには最大過給圧1.5kg/cm2まで上げるという。
これだけのパワー&ブーストがかけられるのだから、パーツも耐久性が要求されるのは当然。腰下は1mmオーバーサイズのカールシュミット鍛造ピストンにTRD鍛造コンロッド。そしてHKSの83mm鍛造クランクを組み込む。ピストン頭部は3mmカットされ、ロングコンロッドとの組み合わせによりサイドスラストを減少させている。これによりボア・ストロークは82.0×83.0mmで、総排気量は1753cc。
カムシャフトは8.5mmリフトの304/288度カム。バルブはIN32.5、EX28.0mmのHKS製。そしてヘッドは各燃焼室合わせが行われ、HKSのポートアダプターを装備。それは4A-Gの楕円ポートを真円に改造したもので、吸気抵抗を減らすとともに混合気の流速をアップし、トルクアップを図るものだ。ガスケットはメタル2mm厚で圧縮比は8.3。
燃料供給システムはOER50φ(A/J150番/M/J80番を使用)に2T-G改サージタンクを装備する。また、ブーストが0.8、1.1kg/cm2時には240cc/分の追加インジェクターが各1本ずつ噴射される。
タービンは日立製HT25(A/R0.50)をシングル装備。インタークーラーはS130改用で、これはドライアイスによって冷却する。
排気系はFGKの4A-G用エキゾーストマニホールドを加工。これに100φのオリジナルマフラーで抜く。またサスペンションは減衰力を変更したオリジナルショックにノーマルカットのスプリングを装備。ミッション、ファイナルはノーマルだがTRDのノンスリが組み込まれている。
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OPT在籍(1987年以降)当時、「アルファの『No.3』ってさぁ、No.1とかNo.2はドコ行った?」みたいな会話をした覚えがあります。が、最近判明したことが…。「No.3の『3』は三沢社長の『3』!」なんですって〜(笑)!
[OPTION 1986年5月号より]
(Play Back The OPTION by 永光 やすの)