ボルボXC90「D5」は、ターボに圧縮エアを送り出し発進時から力強い加速を実現

実際にステアリングを握ってみると、約2.1tにもなる「XC90 D5 AWD」ですが、圧縮エアの威力は絶大。巨大を物ともせずに発進時から急な上り坂まで、グイッとボディを力強く前進させるのが印象的。

圧縮エアにより、ターボによる過給までの間(つまり、ターボラグ)が確かに短く感じるのと、トルク感のあるディーゼルらしい力強さも印象的で、大きなボディであることを忘れさせるほどのたくましい加速が得られます。

それだけ大きくて速いとちゃんと止まるのか不安もありますが、ブレーキのタッチはリニアで、制動力自体も下り坂でも十分に得られるのも美点。また、8ATのスムーズな変速フィールも長所で、短い試乗時間においてでは、パワートレーン関連ではほとんど不満を抱かせませんでした。

さらに、XC90登場時よりも当たりがまろやかになった乗り味も魅力で、試乗車はエアサスペンション装着車でしたが、大型SUVらしいストローク感のある足の動きに加えて、路面の微細な凹凸を感じさせないフラットライド感は高級車そのもの。

ロールが大きくなりがちなSUVでもボディのコントロールがしやすく、山道を苦にしないハンドリングにも感心させられました。

ベーシックな「モメンタム」で859万円、上級の「インスクリプション」は944万円と堂々たる高級SUV。安全装備の充実ぶりを考えると十分以上にリーズナブル(適正)といえます。予算や駐車場所などが許せば、非常に高い満足感が得られそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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