メルセデス・ベンツ Aクラスに乗ってキャンプへ出かけよう!格安なプレミアムレンタカーのススメ

道中は片道300km、高速道路250km、山中のキャンプ場までは約30kmの一般道と山登り区間があり、長距離ドライブテストには十分だ。荷物満載のA180で感じたレビューを簡単に紹介する。

第1に良いと感じたのが「安心感の高い走り」だ。1.6リットルターボのエンジンは加速が鋭いとは言えないが、100km/h+αで高速巡行している分にはさほどパワー不足を感じさせない。起伏のある高速道路であっても荷物を満載したAクラスはグイグイと進むので、「エンジンが頑張っている感じ」が少なく、前の車に追いついた時に、「追い抜き」しようという心の余裕が持てる。これだけでも心的負担が減って疲れにくくなる。山間部の登坂では、さすがにエンジンが苦しい場面があった。

ただし、アクセルを踏み込んでもエンジンが唸り、ガーガーと音を上げて回り出すということはなく、どこか涼しげに回転を上げていくのは魅力に感じた。

そして第2に「直進性の高さ」だ。60km/h程度の低速追従まで行える、ベンツが「ディスタンスコントロール」と呼ぶクルーズコントロールは、ステアリングアシスト制御が付いていないため、自身でステアリングを操作することになるのだが、センター位置へ戻ろうとする力が強い。それが手ごたえとして常に感じられることで、安心してクルマに直進を任せられるのだ。

高速走行中でも軽いステアリング操作力のクルマと比べ、Aクラスの操舵力は高い安心感を得た。ただし通常時も、ステアリングの操舵力は「ズシッ」と重ためである。例えると、日産リーフのおよそ1.5倍はある。ハンドルの据え切り操作ではちょっと力がいるのは注意だ。

不満に感じたのは「乗り心地の粗さ」だ。このA180、1名乗車だとわずかな路面の凹凸であっても、ヒョコヒョコと跳ねることがある。突起の乗り越しショックもやや大きめである。タイヤは205/55R16(ヨコハマBLUEARTH)と、Cセグメントのハッチバックが装着する標準的タイヤの55扁平サイズだが、ドスドスと突き上げがあるのはショックやスプリングがハード寄りにセッティングされているのであろう。

荷物を積載したときの方がステアリングの応答性は鈍くなるものの、指摘した乗り心地は落ち着き、丁度良くなる。一人乗りメインで考えると、A180を選ぶ際には認識すべき点である。

移動距離650km、燃料補給は40.82リットル、燃費は15.9km/Lと、カタログ燃費(17.8km/l)の89%となった。エアコン常時オン、荷物満載だと、高速道路が90%のコースでも、さほど燃費は伸びなかった、というのが結果だ。

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
続きを見る
閉じる