スズキ新型KATANA(カタナ)のポイント解説「スロットルケーブルの巻き取り形状を変更してより扱いやすく」【エンジン編】

■評価の高い2005年〜GSX-R1000のエンジンをベースにチューニング

KATANAのエンジンは、GSX-R1000の直列4気筒DOHC4バルブエンジンをベースにパワーキャラクタ一を損なうことなくストリート用にチューニング。低回転域の力強いトルクと高回転域でのパワフルなエンジン特性を発揮すると同時に、吸気音、排気音は、音のチューニングをおこない、五感を刺激する高揚感のある加速感を演出しています。

●エンジン


スーパースポーツエンジンの中では、ロングストロークを誇る2005〜2008年モデルのGSX-R1000のエンジンを採用。小型の燃焼室により、圧縮比の最適化とフラットピストンの採用が可能となり、ストリートライディングに適した、スムーズなスロットルレスポンスと鋭い加速を誇り、全回転域でエキサイティングなパワーを発揮します。

●ピストン・ピストンリング


ピストンは、FEA(Finite Element Analysis)を用いて設計、剛性を損なうことなく軽量化。ピストンとピストンリングは、ベースエンジンと比較して強度を損なうことなく軽量化されています。

●シリンダーヘッド


サーキットでの性能を重視したGSX-R1000の出力特性に対し、カムプロフィールを変更することによりバルブタイミングを最適化。ストリートでもワインディングでも理想的にマッチングする出力特性を実現しています。
また、スズキ独自のSCEM(Suzuki Composite Electrochemical Material)メッキシリンダ一を採用し、フリクションロスの低減と、高い放熱性、耐摩耗性、気密性を確保しています。

●ポンピングロスの低減


各シリンダー下方にベンチレーションホール(イラスト参照)を追加し、ピストンが下降するときの圧力を隣のシリンダーに逃がしポンピングロスを低減。エンジンパワ一の向上に貢献します。

●イリジウムプラグ


イリジウムスパ一クプラグを採用することにより、効率的な燃焼のための強力なスパ一クを確保。高出力、優れたスロットルレスポンス、優れた始動性、安定したアイドリングを実現しました。

●スリッパークラッチの採用


後輪から伝達されるバックトルクを制御し、シフトダウン等における過度のエンジンブレーキによる後輪のロックやホッピングを抑制します。

●フューエルインジェクションシステム


スズキデュアルスロットルバルブ(SDTV)を採用。サブスロットルバルブはサーボモーターにより駆動され、効率の良い燃焼とスムーズな出力特性を発揮します。
また、10ホールフューエルインジェクターが燃料を微粒化、燃焼効率と燃費効率の向上に貢献します。さらに、O2フィードバックシステムおよび吸気圧センサ一を装備し、あらゆる条件下において燃焼効率を高め、排出ガス中の有害物質を低減しています。

●ローRPMアシスト


発進時や低回転走行時に、エンジン回転数、ギヤポジション、スロットル開度、クラッチスイッチの情報を用いて制御するローRPMアシスト機能を採用。発進時のエンジン回転の落込みを緩和し、スムーズな発進を実現します。また渋滞時の低速走行やUターンの際もエンジン回転の落込みを感じにくく、安心感が得られます。

●エアクリーナ一


エアクリーナ一内には、エアを導入するパーテーションプレートを設け、吸気効率の向上と吸気音のチューニングを実現している。

●エキゾ一ストシステム


エキゾーストシステムは、1-4ヘッダーパイプと2-3ヘッダーパイプの間にイコライザーパイプを装備した4-2-1システムとし、排気パルスを利用した低中速域の出カアップに貢献。エキサイティングな排気音とパフォーマンスを発揮します。
エンジン下部に収まるエキゾーストチャンバーにより、マフラーサイズの最小化とすっきりとした外観を実現。集合部にキャタライザ一を配置し、排出ガスの低減を図っています。


エキゾーストパイプには、スズキエキゾーストチューニング(SET)を装備。サーボ制御のバタフライバルブが、エンジン回転数、スロットルポジション、ギヤポジションから計算された開度となります。これにより、排気圧力波を制御し、低回転域において燃焼を促進させます。

●スロットルコントロール


スロットルグリップにおけるケーブルの巻き取り形状を変更し、KATANAにあわせて新設計。スロットルの開け始めにおいて穏やかにパワーが立ち上がり、開いていけば高回転まで気持ちよく伸びる特性を実現しています。

●ラジエター


高い冷却効率をもつラウンドシェイプラジエターにより、エンジン温度を最適にコントロール。シュラウドは空気を効率よ<ラジエターコアヘと導きます。

●オイルクーラ一


水冷式のオイルクーラ一を採用。空冷タイプのオイルクーラーに比べ、排気システムのための空間を作ることができ、すっきりとした外観にも貢献しています。

【主要諸元】
スズキKATANA
全長×全幅×全高(mm):2,130×835×1,110
軸間距離(mm):1,460
シート高(mm):825
車両重量(kg):215
エンジン形式:水冷4スト直列4気筒DOHC4バルブ
総排気量(cc):998
最高出力(ps/rpm):148/10,000
最大トルク(kgm/rpm):10.9/9,500
燃料タンク容量(L):12
ブレーキ(前・後):ダブルディスク・ディスク
タイヤ(前・後):120/70ZR17・190/50ZR17
価格(円・税込):1,512,000

(文/長野達郎 動画/藤原孝洋)