【三菱デリカD:5試乗③】サスのセッティング変更と新パワステの採用で得たクラスを超えたハンドリング

ディーゼルエンジンの採用が注目されるデリカD:5のマイナーチェンジですが、それ以上に注目なのがシャシーまわりの変更点です。

デリカD:5はフロントにストラット式、リヤにマルチリンク式のサスペンションを採用します。このうちフロントはスプリングの取り付け角度を変更することで、サスペションのフリクションを低減。ロアアームブッシュの特性見直しなどにより操舵応答性の向上と、乗り心地の改善が行われました。リヤはショックアブソーバーの容量アップ、スプリングレートを落とすことで走破性の向上と乗り心地の改善が行われました。

ハンドリングに大きく影響しているのがステアリングシステムの変更です。従来のパワステは一般的な油圧方式でしたが、新型にはデュアルピニオン式の電動パワステになりました。

通常のパワステはステアリング入力軸そのものをアシストしますが、デュアルピニオン式はステアリングラックのステアリグ入力軸とは別の位置にアシスト用のピニオンが装着され、そのピニオンがモーターによって動かしています。この方式だと入力軸を直接アシストする方式よりも動きが軽快でなおかつ正確なハンドリングが実現します。

さらにフロントまわりの骨格構造も見直され、モノコック構造を変更。ボディ剛性をアップさせています。そのうえで、三菱4WDモデルの制御システムであるAWC(オールホイールコントロール)を進化させ、ヨーレートフィードバック制御を追加しています。

普通に流すような走りでもステアリング操作に対するクルマの動きの正確さが出ます。ちょっとしたコーナーでもステアリングの操作が一発で決まります。従来タイプはゆっくり切っていっても、その途中でちょっとした修正舵を加えながら操作していますが、新型は修正舵はほとんど不要です。

速度を上げていくと、その傾向はますます強くなっていきます。路面が滑りやすくなればなるほど、AWCの効果が現れるのでその安定性の高さが強調されます。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
続きを見る
閉じる