【プジョー508試乗】最上級モデルに相応しいパワー&トルクを備えた2種のエンジン

●成熟状態に近づいている1.6ガソリン、もうひとがんばりほしい2.0ディーゼル

従来のノッチバックスタイルからハッチバックスタイルとなった新型プジョー508。搭載されるエンジンは、さまざまな仕様の存在する1.6リットルガソリンと2.0ディーゼルの2種。どちらもターボ過給タイプです。

1.6リットルガソリンエンジンは、じつに多くの車種に搭載されさまざまな評価を受けつつ進化してきたユニットです。厳しい評価のなかで生き抜いているエンジンだけあり、その完成度は高く感じます。

今回508に搭載された仕様は、最高出力が180馬力、最大トルクが250Nmで1.6リットルターボとしては比較的パワーを絞り出しているタイプです。高回転まで回したときの抜けのよさは気持ちよく、ヒュンヒュンよく回りそこにパワーが付いてきますので、ワインディングでも楽しめます。

さらにいいのが最大トルクの発生回転数がわずか1650回転と低いことです。低速からしっかりと加速しますし、高速道路を走っているときもエンジン回転が抑えられるので、無理な走りを感じず快適です。

一方のディーゼルエンジンは170馬力、400Nmのスペックです。さすがに400Nmもトルクがあると走りは力強く、余裕感にあふれていますが、若干ディーゼルノイズや振動を感じてしまいます。排ガスそのものはクリーンで、アイドリング状態で車外にいても匂いなどを感じることはありませんが、車外でのディーゼルノイズは若干大きめとなります。

ハンドリングに関しては減衰力調整が可能なショックアブソーバーを装備することで、スポーティな走りとコンフォートな走りの両立を実現しています。ドライブモードは、エコ、スポーツ、コンフォート、標準、マニュアルの5モードです。調整されるのは、アクセルレスポンス、ミッション、サスペンション、パワステ、アイドリングストップ、エアコンの6項目となります。

都市部での走行を考慮すればエコが標準としてもいいと思います。ただしエコモードの際はエアコンはエコ制御となるので、もしかしたら真夏ではちょっとキツいかも知れません。

ショックアブソーバーについては、スポーツモードがもっとも硬く、コンフォートとエコではソフトになり、ほかのモードでは標準となります。スポーツモードの際のクルマの動きはシャープさが増します。とくにディーゼルの場合はガソリンよりも車重が重いので、スポーツモードのほうが動きが安定する傾向を感じられました。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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