【TOYOTA新型RAV4試乗】トヨタRAV4の『4』に込められた4WDの強い意志がRAV4の魅力を象徴

■発売前の新型RAV4の試乗会をトヨタがわざわざ北海道士別のテストコースで行った訳は?

・ユーザーニーズにマッチした4WDを真面目に追求したのが新型RAV4の魅力

この冬、発売前の新型RAV4の雪上試乗会がトヨタ士別テストコース(北海道)で行われた。「5代目となる新型RAV4の初めての国内試乗会をなぜ『わざわざ』冬の雪上で行うのだろう。雪解けまで待てないのかしら・・・」。試乗する前はそんな疑問を抱いていたのだが、終わってみるとRAV『4』はRAV『2』ではなくて、やっぱり、いや、ますますRAV4としての存在と洗練ぶりを先ず走行性能で知ることとなったのだった。新型RAV4にはこの一つのモデルに対し、世界初採用となるものも含め3タイプの4WDシステムが用意されている。ますます存在感の増すSUVのなかで新型RAV4の存在をより有意義なものにしているのは、新開発のプラットフォームの上に纏うデザインや優れたユーティリティ、先進運転支援システムだけではない。多様化するSUVのニーズを理解し、ユーザーのニーズにマッチした4WD性能を持つ走行性能を真面目に追求したというのが新型RAV4の魅力的な特徴でもあるのだった。

RAV4は街乗りを主軸にしながら街の外にアクティブな期待を抱ける楽しい実用派のSUV。それで言うと、今でこそ多くのメーカーが様々なSUVを登場させているけれど、初代RAV4が登場したのは1994年。当時に遡ってみると、世の中の4WDと言えばまだクロカン4WDが主流で、そんな中ちょっとオシャレな4WDモデルと言えば、トヨタではスプリンターカリブやカルディナのようなステーションワゴン。そう、ワゴンブームの時代なのだ。そんな時代にトヨタはRAV4という初めてモノコックボディを採用したコンパクト系のクロスオーバーSUVを登場させた。国内ではクロスオーバー4WDの先駆けモデルと言ってもいいだろう。当時はキムタクがCMキャラクターを務めたことも販売に貢献。コンパクトサイズで丸みを帯びたそのSUVは女子にも売れたのだった。ちなみに、より都会的なイメージを持った上級モデルのハリアーが登場したのは1997年のこととなる。

以降、RAV4は国内以上に海外で支持され、同様の路線で確実な進化も遂げてきた。2013年に発表した4代目はデザインもより都会派へとシフトし登場したが、日本では未発売に終わっている。

・RAV4は初代「Recreational Active Vehicle 4Wheel Drive」に対し5代目は「Robust Accurate Vehicle with 4 Wheel Drive」の略

さて、5代目のRAV4に話を戻そう。コンセプトはそのネーミングにあり。初代RAV4には「Recreational Active Vehicle 4Wheel Drive」の意味が込められていたけれど、この新型では「Robust Accurate Vehicle with 4 Wheel Drive」=きめ細やかな配慮も兼ね備えた力強さと洗練さを融合させた4WDと、3文字に込められた意味からも洗練ぶりがうかがわれるのではないか。そこに『4』に込められた4WDの強い意志がこのクルマの魅力を象徴しているのだ。

デザインはイカつくも見えるけれど、奇抜なキャラクターラインを多用しているでもなく、むしろサイドビューのボリューム感と質感が伝わる滑らかな面構成が印象的。イカつさも抱けるポイントは随所に多角形デザインをバランスよく採用していることだ。グリルや切れ上がった目ぢからがクールなヘッドライト、そしてホイールアーチを採用。ボディカラーとの相性=光の加減で変わる陰影を含む見栄えも計算された面と線とエッヂによって、都会派ぶりすぎず、アウトドアな印象はホイールアーチとともにリフトアップ感を抱けるSUVスタイルが醸し出すくらい。ただし、ベースモデルの他に『Adventure』というオフロードイメージを象徴するグレードを新設定。専用のフロントグリルやバンパー、フォグランプペゼルに大型のフロントスキッドプレートを採用し、ホワイトルーフの2トーンカラーを選べるのもこのグレードのみとなる。

インテリアのデザイン傾向はキレイ目なカジュアル。豊富な収納スペースが実用的なモデルらしく、さらにそこかしこに多角形を模したデザインを採用し、でも決して子供っぽくない遊び心がさりげなく大人にも伝わるような雰囲気がいい。そんな印象を素直に抱けるのは室内全体の質感の向上ぶりも理由にある。フラットなダッシュパネル超しに抜ける視界とその眼下に広がるダッシュパネルやドアトリムのシンプルで柔らかい面にこれまであまり感じることのなかった質感の良さが抱けるのだ。これにはソフトパッドという触れたときにクッション性を感じる素材を多様し、なんとその面積は45.7%から74%に上がっていると開発者の方が教えてくれた。実はシンプルな面ほど素材や質感にこだわらなければいけないワケで、こだわる分だけコストがかかるもの。RAV4のインテリアは見た目のシンプルさと質感、それに実用性を採り入れた心地よいカジュアルモードが、新しさとして感じられるだろう。

後席のスペースも広い部類に入るレベルが保たれた上、ラゲッジフロアに2段デッキボードを採用するラゲッジは580Lというたっぷりのスペースがつくられているのも、新型RAV4がどんなレジャーでも、何処へでも行けそうな気にさせてくれるのも、大いなる魅力の一つにもなっているのだ。

(飯田裕子)