■Answer「10年間でなんと6割も減少! スピード違反は半減、シートベルト違反は1/3以下に」
・2008年 1291万4946件
・2018年 775万1092件
10年間で約6割も減少したこの件数、何だと思う? 答えはずばり、交通取り締まりだ。警察庁は毎年、「道路交通法違反の取締り状況」として違反別の取り締まり件数を公表している。その「総計」が約6割も減少しているのである。
違反別に主なものを拾ってみよう。まず、スピード違反の取り締まり件数。
・2008年 250万1165件
・2018年 123万7730件
なんと半分以下に減っている。少子高齢化、セダンよりミニバンが売れ、軽自動車が人気、そうしたことが背景にあるのだろう。
次にシートベルト違反。
・2008年 237万3401件
・2018年 70万4865件
こっちは3分の1以下。恐ろしいほどの激減ぶりだ。
シートベルトの着用率(運転席)はどう変わったか、JAFの調査によればこうだ。
・2008年 95.9%(一般道路) 99.0%(高速道路)
・2018年 98.8%(一般道路) 99.6%(高速道路)
着用率はあまり変わらず、取り締まり件数だけが激減している。昔はシートベルト違反に限っての厳しい取り締まりノルマがあったと聞く。いま、それがなくなったのだろう。全国の警察官にノルマを課すことの威力というか、恐ろしいものを感じる。
駐車違反については2006年6月から取り締まりのシステムが変わった。路上駐車して運転者が車内やすぐそばにいない場合、緑色の制服のあの駐車監視員、または警察官が「確認標章」(黄色いステッカー)を貼る。そして後日、ナンバーから判明した車両の持ち主に対し「放置違反金」の納付命令をする、そういう形になった。
違反者=持ち主でも、持ち主の立場で放置違反金を払えば、違反点数は登録されず、ゴールド免許のままでいられたりする。ある意味、違反者優遇の制度といえる。
その納付命令の件数はこうだ。
・2008年 225万1254件
・2018年 97万2586件
この激減ぶりもすごい。駐車監視員による取り締まりは、確認標章を貼り付ける前に運転者が車へ戻ればセーフだ。取り締まりは空振りに終わる。
駐車監視員が違反を確認してから、違反内容を携帯端末に入力し、確認標章を作成するまでに、手際が悪いと10分以上かかる。あわてると違反場所の住所番地や車のナンバーなどを間違えやすい。間違えれば警察が後処理に追われる。そのため、特にノルマを課さないばかりか、×分以上かけてじっくりやれと警察のほうで指示することもあると聞く。加えて、運転者たちは駐車監視員のやり方に慣れ、長く路上駐車しないようになった。そんなこんなで取り締まりが激減しているようだ。
●「一方、あおり運転の問題の影響で、車間距離不保持の取り締まりは1年間で約2倍!」
全体に激減するなかで、取り締まりが増えている違反もある。横断歩行者妨害がそうだ。
・2008年 6万0934件
・2018年 18万1290件
青信号で横断歩道を横断中の歩行者に、同じく青信号で交差点へ入って右左折する車が衝突、そういう事故を防ぐためにと、現場警察官が尻を叩かれたのだろう。
あと、高速道路における車間距離不保持の取り締まりは、2008年は2018年より多かったのだが、その後どんどん減り、2018年に前年の2倍近くになった。
・2017年 6139件
・2018年 1万1793件
これはもう、ほら、悪質なあおり運転の末に東名高速の追い越し車線上に相手の車を停車させ、重大事故を引き起こしたという、とんでもないことがあったでしょ。あれが大きな社会問題になったため、「あおり運転を厳しく取り締まれ」と警察庁が号令をかけたからだ。
横断歩行者妨害と高速道路の車間距離不保持の取り締まりは、今年もがんがん行われるだろう。また、今年は携帯電話使用(通話および画像注視)の反則金が大幅に引き上げられる予定だ。取り締まりがぐんと増えるははず。
そんなことにも留意しつつ安全運転を!
(今井亮一)