ジュネーブの日本車は熱いか? 国産メーカー注目車のデザインをイッキ解説!【ホンダ・スバル篇】

■スイスで日本車のデザインは輝いているか?

ジュネーブモーターショー2019が開催となりました。いろいろと話題の多い今年のショーですが、今回は国産メーカー注目車のデザインをイッキにチェックたいと思います。1回目はホンダとスバルの2台をチェック!

・HONDA eプロトタイプ

1台目はホンダから「Honda e(ホンダ・イー)プロトタイプ」。2017年の東京モーターショーなどに出品された「Urban EV Concept」の進化版で、かなり量産型近いとの話があります。なるほど、薄いキャビンや低いベルトライン、大径ホイールなど、コンセプトカー然とした当時のプロポーションは随分と現実的になっています。

それでも、キュートな佇まいはほぼ継承。左右に絞られたフロントはむしろ適度な凝縮感を得ましたし、ボリューム感を増したボンネットフードと大きくなったキャビンのバランスも取れています。リアピラーから引かれるラインは、適度に張りのあるボディ面への絶妙なアクセントに。

懐かしさを感じさせる一方、前後ランプやピラー、ルーフなどのブラックの使い方が先進性や未来的なイメージを与え、単なるレトロカーでないところが巧い。さらに、ロングホイールベースにより、破綻なく5ドアを提示しているのもポイント。

エキサイティングなデザインを標榜してきた近年のホンダですが、いよいよディレクションの世代交代を感じさせます。シンプルかつ機能的、そして独自の先進感を持った「Honda e」が、EV以外のラインナップにも反映されることを期待します。

・SUBARU VIZIV ADRENALINE CONCEPT

2台目は、スバルから「SUBARU VIZIV ADRENALINE CONCEPT」。同社が提唱するデザイン・フィロソフィである「Dynamic×Solid」のさらなる進化として、「BOLDER(大胆)」をテーマとしたスポーツヴィークルの提案です。

同社のコンセプトカーは伝統的に評価が高いですが、今回もその例に漏れないようです。とくにこのクルマはプロポーションがよく、高い位置に置いたグリルが前進感を、短くボリューム感を減らしたオーバーハングが凝縮感を生み出しています。

スバルとしては、フェンダーまで拡大したプロテクターやガード感を出したルーフが「ウリ」のようですが、それはあくまで飾り。それよりも全体のバランスのよさや、現行車のボディサイドの切り欠きのような小細工とは異なる、明快なボディラインに注目するべきでしょう。

同社の課題は、評判のいいコンセプトカーをどう市販車に落とし込むかです。最近発表された新型レガシィには残念な声が聞こえますが、果たして今後「BOLDER」をうまく料理できるのか。もちろん、「大胆」といってもやり過ぎは禁物ですが。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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