ハース主席レースエンジニア・小松礼雄が考える、人材育成の秘訣とは?【F1速報×F1女子~2019年オフシーズン情報号~】

●今号の一押しコンテンツ!

近年F1の世界で働く日本人が増えてきましたが、その中でもトップクラスといっても過言ではないハース主席レースエンジニアの小松礼雄さん。

TVにはたくさん映ってもその素顔が明かされることは、なかなかありません。本号では、そんな小松さんの超貴重なスペシャルインタビューが掲載されているんです!

主席レースエンジニアという立場で、トラックサイド部門を統括するというチームにとって重要なポジションにいる小松さんですが、どのようにチームをまとめているのでしょうか。

「なるべく褒めるように心掛けているし、責任も与えるようにしています。たとえば、メルセデスから加入したストラテジストがいますが、すごく仕事ができる人物なんです。でも、最初はあまりうまくいきませんでした。メルセデス時代はファクトリーベースだったので、実際にピットウォールで作業するのが初めてだったんです。だから、本人は言わなかったけど、実際はすごくプレッシャーを感じていたんでしょうね。僕はもう何年もピットウォールで仕事をしているから、その重圧を忘れてしまっている部分もあって、彼のそういう状況の変化にちゃんと気を使ってあげられなかった。ですから、いい意味で期待値を下げないといけないなと感じて接し方を変えたりしました。18年は互いのことがよく分かってきて、どの方面からレースを見ているのか、ということも理解できていたので、いちいち説明し合わなくても『あ・うん』の呼吸で物事を進められるようになりました」

世界中を転戦とし、F1というトップカテゴリーで戦い続けている小松さんって最高にかっこいい! と思いますが、小松さん自身はまだまだ課題があると言います。

「たぶん、僕はちょっと厳しすぎるんです。意識・目標・課題など、なんでも“共有する”ことを重視して仕事をしているつもりだけど、それでも相手にうまく通じていない時もあって。僕がすごく仕事ができると思っている人でも、時おり『まだそんなこと言っているの?』と感じて、厳しく言ってしまうことがあるんです。それはダメですね。僕のことを10年くらい知っている人ならいいけど、新しい人にそれをやると萎縮してしまう。そうすると、僕のことを怖がって何も意見を言えなくなってしまうので、そこは改善しないといけないと考えています。そんな状況に陥ったら、組織が死んでしまいますから」

また、ドライバーについても触れており、小松さんによるとロマン・グロージャンは「ピカイチの速さがあるけれど、レースではもう少し落ち着いて戦ってほしい」、ケビン・マグヌッセンは「金曜日(フリー走行)の結果が悪くても、ドライバーとしてそのポジションまで毎回いけると自信を持っているところが凄い。課題は状況変化への対応力」なのだそうですよ。

今まであまり明かされなかった小松さんについて深く知れる、「小松礼雄スペシャルインタビュー」。ハースファンはもちろんですが、将来F1に携わる仕事をしたい!、上の立場になり人材育成に悩んでいる……という方にもぜひ読んでもらいたい、私的一押しコンテンツです。

この他にもF1解説でお馴染みの川井一仁さんが分析する「リバティ・メディア体制の成果と課題」や、国内外のF1ジャーナリストのトークバトル「2019 F1大予想」「アロンソ&ライコネン選択の行方」など読み応えのある「F1速報2019オフシーズン情報号」は書店、または三栄書房オンラインショップで好評発売中です!

オフシーズンの間に、じっくり読んでみてはいかがでしょう?

(yuri)

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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