走ると意外に速い! マツダ愛が育てるLEGのRX-8・大井貴之の「オジさん心に響くこのクルマ」その2【東京オートサロン2019】

「YOUTUBERという名の無職!」として『億』を稼ぐとウワサの、YOUTUBEチャンネル「クルマで遊ぼう! 大井貴之のSports Driving Labo.」・主管であり、安全に楽しめるスポーツドライビング布教活動・宣教師、大井貴之さんにもう一台、『東京オートサロン2019出展車の中で気になるクルマ』を聞いてみました。「マツダ愛が不人気RX-8を速くした」というレッグのRX-8をピックアップです!

●S耐86マシンより速い! 今風のMAZDA顔もイケてるRX-8
青8マンLEGSPORTレプリカAT

【こだわるマツダが無駄にいいクルマを作ったけど、不人気。それがRX-8】

このクルマはオレがあちこちでタイムアタックをしているLEG RX-8の「レプリカAT」仕様。吸排気系+CPUチューンにサーキット仕様の足まわりをセットね。

左がLEG(レッグ)の倉迫幸生さん。拘りありそうな顔つきでしょ!?

このクルマを作ったチューニングショップ「LEG(レッグ)」はね、ロードスターも得意とする広島にあるマツダ系ショップ。RX-8っていうのは今現在の最後のREエンジン車で、当初RX-7(FD3S)に代わるものとして出てきたんだけど、最初乗ったとき気の抜けたコーラみたいでナンジャコリャ!?みたいな印象だったわけ。

電子スロットルになったおかげでアクセルを踏んだ直後だけバガってアクセル開くから一瞬、セブンよりいいかも〜……って思っても、やっぱり気が抜けたコーラなんだよ。

でも、見た目からは想像もできないシャシー性能の高さがあるの、知ってる? しかも4輪がダブルウイッシュボーンだったり、意外と走る部分に対してコストもかかってる。そのおかげで乗り心地はいいし、チューニングすればするほど速くなるのがRX-8の凄いところなんだよね。

実際、LEGのRX-8を走らせていくと、どんどんいいところが見つかってきて、エンジンもREノンターボだからストレートエンドもまったく速くはないんだけど、だけど軽めチューンのS2000くらいならやっつけるくらいに仕上がってきた。

なにしろ、RX-8は鈴鹿のバックストレートで200km/h前後、86よりちょっと速い程度なんだけど、鈴鹿フルコースで2分21秒とか出ちゃう。季節は違えど、86のS耐マシンとかより速い。かつてFDのS耐マシンがあったころは20秒切ることが目標だったんだよ。それが今、ラジアルでもそれに近いタイムが出ているっていうポテンシャルがあるのがRX-8なんだよね、意外でしょ。

【少数派でもハマると凄いRX-8!】

まぁね、RX-8のタイムアタック派は少数派であることには間違いない。でもね、RX-8命の「エイトリアン」ってヤツがRX-8ばっかりの筑波走行会を主催しているんだけど、40台の募集枠がすぐいっぱいになるっていうくらい、RX-8は隠れたタイムアタック人気車でもあるんだよ。

マツダがブレーキにキャパをもたせているから、ローター径換えないでアタック仕様(※長持ちしなくていい。ローター径を大きくすると重くなるし1周もてばいい仕様)と走行会仕様(キャパが必要、しかも長持ちしないといけない仕様)、それの両方がノーマルローターのままでいけちゃうんだよね。なんでもかんでも「ブレーキは大径!」っていうのではなく、素性の良さを生かし、ローコストのユーザー目線でチューニングしているっていうのもLEG RX-8の魅力。

エアロパーツも、サーキットアタックをやりながらタイムにつなげる研究がされているのでハリボテじゃない。それにラジエターグリルとか、今風の「MAZDA顔」に近づけようとしている感じがあるじゃない。もうね、マツダへの愛があふれているんだよ。

【変態MAZDAの変態的な観音開き4ドア、でも使い勝手はニジュウマル!】

RX-7に対してRX-8って、スポーツカーとしてはあるまじき半端さ! 例えば4ドアじゃなきゃ売れないからってことからの、観音開きのヘンな4ドア。フォードのピックアップにもあのカタチのドアを使っているんだけど、普通のドアの開き方だったらあのスペースで4ドアなんか作れないよね。

サーキット行くのに突き詰めた半端ないクルマだと、スペアタイヤを積めないのもある。でもRX-8はあの小スペースだけど観音開きのおかげでタイヤ1セットが積める。86っていうのは、ノーマルタイヤ4本+ジャッキや荷物も積んでサーキットまで行けることも考えているんだけど、RX-8はそれ以上にトランスポート性能があるんだよね。

マツダってある種、無駄なことに力を注いでいるのよ。観音開き4ドアも、4輪ダブルウイッシュボーンなんかもそう。車体にまでもこだわってくるっていうのが、マツダの変態的なところ。

そもそもチューニングカー乗ってるヤツなんかみんな変態なんだけど! その変態にビビビッと共感できているのがマツダ車であり、RX-8なわけ。

おかげさまで大不人気車だから、中古車市場も安い。RX-8って走るベース車としていいんだよ。燃費が悪いなんてのはたいした問題じゃない。よ〜く見ると魅力がたっぷり隠れている「私、脱いだらすごいんです!」みたいな。

(文・写真:永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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