「安心して満喫できるから面白い」大阪のオートマイスターさんでチンクエチェントの魅力に迫る

●遅いから安心して全開にできる!だから楽しい

代表の清野さんにこのクルマの魅力を伺ってみました。

「全然速くないんですけど、目いっぱい回して元気よく走り回る。そんなのがこのクルマの楽しさの源ではないでしょうか。大きさも小さいので一人で乗っていてもとてもフィットしますし。あと、仕組みがシンプルなので、少しいじるとそれだけクルマの変化が顕著に楽しめることでしうか。」

「このアバルトなんかもそうですが、見た目こそそんなに変わらないものの、エンジンのパワーなんか、3倍くらいになったりするんです。それでも今からしたら非力なんですけど(笑)でも、もともと軽いので、それだけの変化は圧倒的な違いとして楽しめますね。シンプルだから奥が深い、シンプルだから一度とりこになると、やめられない、という人が多いのではないでしょうか。」

とのこと。

●実は珍しいイタリア製の126

オートマイスターさんにはこの日、二台の126が顔を合わせました。126はヌォーヴァ・チンクエチェントの後継モデルと言ってもよいでしょう。

チンクエチェントに比べると、旧車の人気の今でもそこまで人気というクルマではないかもしれません。でも、これもフィアットの歴史で見るとなかなか貴重だし、フィアットらしさはあって、伝統もしっかり継承したモデルだと言います。

「実はイタリアで作られた126って初期の数年だけで、すぐにパンダがデビューすることで、エントリーモデルとしての役割は早々パンダに譲っているのです。こちらのグレーのはそんな時期のクルマです。世界的に見るとまだまだ走っている数も多いクルマで、部品はほぼすべてそろいます。」

「しかし、その後も、コチラの軽登録しているクルマなどのように、ポーランドなどイタリア以外で多数、継続してつくられていました。こうしたモデルはむしろ、本家になかったモダンな樹脂パーツなども多く、実はそういうものの一部は手に入りにくくなっているのもあります。とはいえ、基幹系に関してはイタリア製の時代とほとんど同じなため、部品に困ることはやはり少ないと言えます。ポーランドで作っていたこの時代、日本では軽自動車の排気量が660㏄になっていました。そのため、製造時の基準で軽自動車の排気量にはまる車種は国内で軽登録ができました。そんなに多くはないですが国内で走る黄色いナンバーの126はそんな事情で生まれました。サイズに関してはすでに軽自動車規格よりはるかに小さいものですね。」

と教えてくださいました。

ポーランド製の126は乗ったことがありますが、確かに遅い(笑)。都内の流れについていくのも大変で、前の信号機ではなく、直行する道用の信号機を見ておいて、変わったらすでに助走し始める。そんな風にしていたのを思い出しました。

でもトルクたっぷりですので、車庫入れなどは半クラッチだけでOK。坂道発進も全然問題なし。またリアエンジンでもともとコンパクトな上に、ステアリングは大きく切れてくるっとどこでも向きが変えられるのもうれしいところ。なんか旧車入門でも126って面白いチョイスかも。とあらためて思ってしまいました。

●世界のコンパクトカーがしたいことがなんとなくわかる。

また、オートマイスターさんのガレージには小さめなクルマがいろいろ置いてありました。現代によみがえったNEW500や、ダイハツの軽自動車たちも。

しかしそんなクルマたちを昔のヌオーヴァ500や126の間に挟んで置いてみると、こういうクルマたちが何をしたいのか、何を目指しているのか、なんとなくわかってくるようで、そんなのも面白い気付きでした。そして、案外そのいずれも「いい線いってるじゃない!」と思えてうれしくなりました。

短い滞在時間でしたが、充実のひと時を、オートマイスターさんで過ごすことができました。清野さんありがとうございます。

(中込健太郎)

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