【ハイラックス Zブラックラリーエディション試乗】「オンリーワン」な存在。それがハイラックスの魅力

今回の試乗は愛知県にあるトヨタ系のオフロードコース「さなげアドベンチャーフィールド」を中心に行われました。

まずは、クロスカントリーコースの試乗です。クロスカントリーコースでは走破性の高さをチェックしました。とにかく感心させられたのが、A/T(オールティレーン)タイヤでありながら、けっこうガンガンに行けてしまうことです。ほとんどのセクションは4Loレンジのままで行けてしまいます。

エンジンは2.4リットルのディーゼルターボでしっかりした低速があるので、登り下りのないロックモーグルならアイドリングのままブレーキ操作で速度を調整、ステアリング操作に集中しながらセクションクリアが可能です。越えられない場合はアクセルを踏みこめばそのまま乗り越えてクリアしてしまいます。

次はさらに厳しい上り勾配のマッドモーグルです。さすがに上りの場合はアクセルを踏んでいかないと進みません。ヌルヌル路面で滑りやすい場面なので、アクセルコントロールを間違うとタイヤが滑りはじめます。1輪だけが滑っている状況なら2輪の駆動力で前に進めます。この場合3輪ではありません。たとえば後ろ右が滑ると、後ろの駆動力はすべて空転している右に流れます。

やっかいなのが対角線スタックと言われるもので、左前輪と右後輪といったように対角線上にあるタイヤが空転したときです。前後、そしてセンターのデフがオープンタイプ(ようするに普通のデフ)の場合は、空転しているタイヤにのみ駆動力が流れてしまいます。ハイラックスはこうした場合に空転しているタイヤにのみ電子制御でブレーキをかけて空転を停止するアクティブトラクションコントロールを装備、接地しているタイヤに駆動力を伝えて進みます。またリヤデフをロックすることもできるので、上りなどではリヤデフをロックすることでより力強く上ることが可能です。

キャンバー走行では30度強の傾斜を体験しましたが、不安感はありません。後1輪が持ち上がりグリップを失いますが、ここでもアクティブトラクションコントロールが働いて、アクセルを踏めばグッと前に押し出されます。

ラフな道を走るとどうしても上下動が大きくなり、その際に頭がルーフ側のアシストグリップに当たってしまうのが気になりました。ドライバーはルーフ側のアシストグリップにつかまることはありませんし、Aピラーにはアシストグリップがついているので、ルーフ側のアシストグリップは不要でしょう。

オンロードの走りもびっくりするくらいにいいものです。以前にも試乗し、レポートを掲載していますが、リヤサスペションが空荷のときには柔らかく、荷物を積むと硬くなるセッティングとなっているため、空荷で走ってもリヤが激しくはねるようなことはなく、しっかり接地してグリップしていきます。

試乗車はタイヤの扁平率が60%とトラックとしてはかなり低扁平率(フラットローデッキの小径タイヤの場合はさらに薄いこともありますが)となっていますが、乗り心地の悪化はなく、かえってノーマルタイヤよりもいい印象でした。

 

ボディ全長は5320mと長く、最小回転半径も6.4mとかなりの大きさ。使えるシチュエーションが限られますが、それでもオンリーワンな存在は、ハイラックスの大きな魅力となっています。

(文/諸星陽一・写真/澤田優樹)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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