2018年、登ってよかった山岳ベスト5【車中泊女子の全国縦断記】

■リフトやロープウェイを使って、様々な風景を満喫しました

中高年の登山ブームや「山ガール」など、近年トレッキングが盛んになってきています。筆者も登山好きですが体力があまりないので、リフトやロープウェイがあれば積極的に利用しています。

今年、訪れた中から特に印象に残っている山、またクルマで山頂まで行けちゃう山も含めてご紹介します。

【その1 日光白根山(群馬県)】

世界遺産・日光東照宮に代表される日光。奥日光には男体山をはじめ中禅寺湖、戦場ヶ原、また華厳の滝や龍頭の滝などの観光スポットが広範囲に点在しているので一度は訪れたことがある方も多いのではないでしょうか。

日光白根山(標高2,578m)へは、まず【日光白根山ロープウェー】(往復2,000円)で山頂駅へ。ロープウェーからは、眼下に菅沼・丸沼などの絶景が広がります。

ここから日光白根山へ続く登山道が最短ルート。登山せずとも自然散策コース(1周1.5km/約45分)と史跡散策コース(1周5km/約2時間)も整備されています。また山頂駅付近には二荒山(ふたらさん)神社やカフェ、展望台に足湯もあるので充分に楽しめます。

トレッキングの後は数ある温泉で汗を流し疲れを癒せるのも魅力です。ロープウェーセンターステーション内にも、日帰り温泉施設【座禅温泉】が併設されているので便利です。

【その2 室根山(岩手県)】

2018年春にオープンした道の駅【むろね】から約10km。室根山(標高895m)は室根高原県立自然公園に指定されており、森林公園やキャンプ場、乗馬クラブなどレジャースポットも集まっています。

山の中腹に鎮座する室根神社には、本宮に「金の鈴」、新宮に「銀の鈴」があり、金と銀の鈴が二つ揃っているのは日本でここだけなのだそう。

山頂まで車道が整備されているので、労せずして景色を堪能できるうえにワインディングロードドライブも楽しめちゃいます。山頂には駐車場とトイレも完備。天文台は閉鎖中ですが、1階のお食事処は休憩所として開放されており、また屋上にも上ることができます。

屋上からは360度パノラマが広がり、近くにパラグライダー発着所があるためタイミングが合えば悠然と飛んでいる姿が見られるかも知れません。

【その2 三ツ石山(岩手県)】

東北百名山に数えられる三ツ石山は、標高1,466m。【休暇村岩手網張温泉スキー場】(夏期はトイレのみ利用可能)からリフトを3つも乗り継ぐこと約40分、スキー場の上、雫石の町が一望できる展望台から登山開始です。ちなみに料金は「1本のみ」「2本乗り継ぎ」「3本乗り継ぎ」片道/往復など細かく設定されており、また『片道リフト3本乗り継ぎ+下山バス券(1,200円)』もあります。

展望台から大松倉山を通過して三ツ石山荘(トイレあり)〜三ツ石山山頂へ。山頂は巨岩のため、多くの登山客が順番待ち! ちょうど紅葉シーズンだったこともあり、おおいに賑わいました。

帰りは奥産道(奥地等産業開発道路)登山口からバスでスキー場駐車場に戻るはずだったのですが、バス出発時刻(14:30)に間に合わず、とぼとぼ徒歩で帰るしかないと覚悟していたところ、親切な女性がクルマに乗せてくれたことは忘れられません。優しさに感謝。

【その4 月山(がっさん・山形県)】

月山は、羽黒山、湯殿山とならぶ山岳信仰の聖地として有名な【出羽三山】の最高峰(標高1,984m)。開山は、崇峻天皇の第三皇子・蜂子皇子(はちこのおうじ)によるものと伝えられています。

月山スキー場駐車場から徒歩で【月山ペアリフト】乗り場へ登る道すがら、清掃協力金(一人200円)を支払います。ペアリフトの料金は、往復1,030円。約15分で、上駅(姥ヶ岳休憩所/トイレあり)に到着します。この周辺からでも素晴らしい眺めが堪能できますよ。

まず姥ヶ岳に登ってから、尾根づたいに金姥、柴灯森、牛首ときて月山山頂、帰りは沢コースで上駅へ戻る…というルート。この日の天気はめまぐるしく、午前中は晴天、お昼頃から曇ってきて幻日環が現れ、山頂付近からは眼下に雲海が広がり、月山山頂の背後、雲の上に鳥海山がひょっこり現れるという(写真)1日でいくつもの光景を目の当たりにすることができました。

下山する頃にはまた晴れて斜陽に紅葉が赤く照らされ、絶景に見とれてなかなか歩が進まず。登り始めた時間も遅かったのですが、いかんせん足が遅いのでリフト運行の最終時間(16:30)になってしまいました。ペアリフト下駅に到着したら、地面に小石で書かれた「おがえり。マタキテケロナ。」の文字が! 小粋な演出にも感動しました。

【その5 山岳信仰の山

筆者の地元・熊本の阿蘇山をはじめ九州には山岳信仰の山々が数多く存在します。幼少時代に慣れ親しんだ金峰山(熊本県熊本市)も霊山ですし、そのせいか個人的には「おどろおどろしい」というイメージがまったくなく、むしろ身近に感じます。

先に紹介した山々も霊山ではありますが、「山岳」と呼ぶには性質が違うなと思う3ヶ所をまとめて「山岳信仰の山」として挙げます。

太田山神社】(北海道久遠郡せたな町)

2010年に訪れたものの、その険しさから断念した太田山神社 本殿(奥宮)。北海道最古の山岳霊場であり、道南五大霊場のひとつ。

山体は平均して約45度もの斜度があり、これをつづら折りに登っていきます。その昔、太田山神社は女人禁制だったので、女性のために中間地点に女人堂が建っていますが、女人堂まででもかなりきついので満足感があると思います。

山頂近くになると屹立する岩盤があらわれ、岩肌に設置された心もとない梯子を上ると、ついに奥宮が鎮座する岩の真下に到達します。ここからが最大の難関です。ほぼ垂直の岩盤を、鎖を頼りに登らなければなりません。下から見ると登れそうな気がするのですが、いざ鎖を手にして2〜3歩で恐怖心が大きくなり、何度かチャレンジしたものの、どうしても恐ろしくて登ることができませんでした。

登ることができたとしても、これを降りるのはもっと困難です。女人堂まで行ければ、と思っていたのですから、ここまで来れただけでもよかったです。

宝登山(ほどさん)】(埼玉県)

秩父神社、三峯神社とともに【秩父三山】に数えられる宝登山神社。その奥宮が鎮座しているのが宝登山(標高497m)です。第十二代 景行天皇の皇子・日本武尊(やまとたけるのみこと)が神霊を拝したところと伝えられています。【長瀞(ながとろ)八景】のひとつであり、【日本さくら名所百選】にも数えられるなど秩父の人々に愛されている山です。

ふもとの宝登山神社から徒歩1時間半程度の初心者向け低山ですが、体力に自信がない方は【宝登山ロープウェイ】(往復820円)で山頂付近まで登ることができます。ロープウェイ乗り場の駐車場はとても狭いので、停められる確率は低そうです。宝登山神社の駐車場からロープウェイ乗り場までは、徒歩約5分。

ロープウェイ山頂駅までは5分程度で到着。宝登山神社 奥宮までは徒歩約5〜6分程度ですので、春先であればロウバイや桜を眺めながら散策気分で登拝できます。
ロープウェイ乗り場や周辺にお店などが見当たらなかったのですが、なんと奥宮の境内に売店がありました! 奥宮=山頂ではなく、ここからまた1〜2分ほどなだらかな遊歩道を進んだ広場が山頂です。樹々に囲まれ山頂らしさはゼロ。さらに奥宮からロープウェイ乗り場とは逆方向に下りる途中には動物園がありました。

【寶登山は千古乃霊場】と讃えられたそれが今や、レジャーランドと化していることに衝撃を覚えつつ、各地に似たような霊山があることもまた事実。三峯神社(奥宮/妙法ヶ岳)の荘厳さとあまりに対照的で、切ない想い出となりました。

嵩山(たけやま)】(群馬県)

嵩山は、道の駅【霊山たけやま】の背後にそびえる標高789mの独立峰。吾妻八景のひとつで、古くは縄文式文化時代の遺跡が多く出土、また中世 室町時代の中期には北関東・白井をとりまく友城のひとつ嵩山城という側面も持っています。

まず登山の前に、嵩山をご神山とする親都(ちかと)神社へ参拝、無事を祈願します。案内板には「ハイキングコース」と書いてありますが、歩く場所によってはとんでもない岩場&鎖場になるので、しっかりした装備(特に靴)が必要です。嵩山三十三番観世音めぐりも、足元が危険な場所があったり立ち入り禁止区域になっていたりしますので、無理して全部を廻ろうとせず気持ちだけで。

山岳信仰の霊山に鎖場はつきものですが、ここ嵩山の大天狗は過去最大の難関でした。北海道の太田山神社で本殿を前にリタイヤしたことが思い出され、意を決して、軍手を嵌め直して鎖を握りしめて、少ない凹凸に足をひっかけ四つん這いどころか這いつくばって必死によじ上りました。最後、女岩に登り切ったときは手が震えるほど。360度パノラマの景色に身を委ね、感無量でした。間違いなく、2018年ベストワンの経験となりました。

3枚前の写真が、その大天狗からの眺めです。小天狗なら危険度が少なく、榛名山が一望できるなど眺めも素晴らしいので機会があれば訪れてみてください。

次回はお待ちかね(?)、ご当地グルメベスト5をお送りします。

(松本しう周己)

この記事の著者

松本しう周己 近影

松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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