【日産・リーフ ニスモRC試乗】いまこそ「やっちゃえ日産」だ! 市販EVベースのレース実現を…という期待感を抱かせる仕上がり

日産・リーフをベースとするプロトタイプレーシングマシン「NISSAN LEAF NISMO RC(日産リーフニスモRC)」に、富士スピードウェイのドリフトコースに設けられた特設コースで試乗しました。

6台製作するとはいうものの、基本的にはワンオフもののレーシングカーですから、運転にはかなり気を遣います。先代にも乗っているのですが、その緊張感は今も変わりません。さらにまわりにはカメラを持った同業者がたくさんいますので、何か起きたら「いいネタ」以外の何ものでもありません。

試乗にあたり、ヘルメットとグローブの着用が義務づけられました。さらにヘルメットを被る前にはフック型がイヤフォンの装着を求められました。アルマイト加工された無線のフック型イヤホンを付けて乗るなんて、それだけで今までのレーシングカーとは大きく異なる雰囲気でした。

システムを起動する前にアクセルペダルを踏んでみると、なんともスカスカな印象です。レーシングカーのちょっと重めで節度感のあるものとはちょっと違う雰囲気です。ブレーキペダルも同様で、ちょっと頼りない感じの踏みごたえでした。ステアリング左下にあるロータリースイッチは1〜4までを選ぶことができるようになっています。これは出力を調整するスイッチで、4での試乗を指定されました。もっとも出力の弱い状態ですが、これをいじる勇気はありません。

システムを起動して、アクセルをゆっくり踏み込むとスムーズな加速をします。まずは、アクセルをゆっくり踏み込んだときのフィーリングをチェック。アクセルを戻したときの減速感もチェックしました。アクセルオフの減速感、つまり回生ブレーキの強さはあまり強くありませんでした。

そして忘れてはいけないのはブレーキフィールのチェックです。ブレーキはサーボレスなので、かなりしっかり踏んであげないと制動力が出ません。ただ、純粋なレーシングカーのようにパッドの温度を上げてやらないと効かないということはなく、初期からしっかりと効いてくれるタイプのものでした。

全体のフィールをつかんだ状態で、アクセルを強く踏み込んでみるとグッと力強い加速感が得られます。出力を絞った状態ですが、その加速感はかなり「ヤバイ」雰囲気を持っています。開発ドライバーの松田次生選手によれば、4WDだから曲がらないときはステアリングを切ってアクセルを踏めば曲がっていくと言いますが、そんな思い切った行為はできません。

ステアリングは思ったよりもダルなギヤ比で、今回のようにジムカーナコース的なコースだとかなりステアリングを切っていかないと曲がってくれない。しかし、サーキットを走るのであれば、このくらいのギヤがピッタリなのでしょう。

この「NISSAN LEAF NISMO RC」は、全部で6台が製造され、イベントなどで使用されるといいます。フルカバードされたレーシングカートのような雰囲気は、未知のドライビングフィールでしたが、ワクワク感にあふれたファンなものでした。レギュレーションが整備され各自動車メーカー、レーシングファクトリーなどが開発・製造を行えば、面白いレースシリーズが実現できるかも知れません。

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
続きを見る
閉じる