【横浜ゴム・BluEarth-GT AE51発売】アドバンシリーズに迫る高性能ブルーアースが登場

横浜ゴムのブルーアースシリーズに、新しく「BluEarth(ブルーアース)-GT AE51GT AE51(以下ブルーアースGT)」が追加になりました。ブルーアースシリーズは横浜ゴムのグローバルタイヤブランドであり、主力のサマータイヤです。

横浜ゴムのタイヤブランドのなかでもとくにスポーツ性を重視したブランドが「ADVAN(アドバン)」です。モータースポーツフィールドなどでは、アドバンブランドをよく見かけます。今回発表された「ブルーアースGT」は、ブルーアースシリーズのなかでもアドバンブランドに迫るパフォーマンスが与えられたモデルとなっています。

「ブルーアースGT」のGTとはグランドツーリングの意味を持ちます。一般的にGTというとスーパーGTレースなどをはじめとするスポーツ性を意識させますが、長距離をドライブするという意味合いも含んでいます。「ブルーアースA(エース)」の後継モデルとして設定された新タイヤに“GT”の名が冠した理由を試乗と技術解説を通して探っていきます。

先代にあたるブルーアースAはドライ性能や静粛性、乗り心地など全体的にバランスが取れたタイヤで、ウェット性能も高かったことからさまざまなクルマにマッチングするタイプのタイヤでした。そうした総合性能が高いタイヤながら、ユーザーはさらなる転がり抵抗の低減と剛性感の向上、欧州車にも適合する18インチサイズ以上の適合を要望していました。

今回のモデルチェンジではそうした要望に応える形で、14インチから19インチまで全57サイズを設定。さらに2019年度中に4サイズの追加も予定されています。サイズ拡大により、欧州Cセグメント、Dセグメントはもちろん、Eセグメントまでをカバーするラインアップ構成となりました。ブルーアースAではラベリングが“A/a”および“A/b”であったのに対し、「ブルーアースGT」では“AA/a”が31サイズ、“A/a”が26サイズとなります。
*大文字が転がり抵抗を示すラベリングで、AAAが最高、小文字はブレーキ性能を示すラベリングでaが最高です。

最初に試乗したのはヴェルファイアに装着された215/65R16 98Hです。重量があり重心が高いヴェルファイアですが、安定感のある走りです。「ブルーアースGT」はミニバン専用タイヤではありませんが、しっかりした乗り味を確保しています。タイヤ全体の剛性は適度でトレッドがしっかりしている印象です。

「ブルーアースGT」のトレッドデザインは4本のストレートグルーブ(溝)を持つ左右非対称デザインです。4本の溝に挟まれた3つのセンターリブが周上で分断されることなく、1本のリブとなっています。もちろんリブにはサイプなどは刻まれていますが、リブ1本だけを見れば細いSタイヤのようなもので、これが3本並んでいるようなレイアウトなのです。そしてアウト側もリブを太く設定し、ラグ(横)溝も貫通しないタイプとして剛性を確保、イン側は周方向に1本の貫通した細溝を入れるなどして乗り心地のアップを図っています。

225/55R17 101Wを履いたアテンザではハンドリングの正確さを感じることができました。ステアリング中立状態ではビシッと剛性感を持って直進を保ちます。コーナーに向かってステアリングを切り込むと、力強くノーズがインを向いていきます。中立付近の遊び部分から切り込み、さらにその先の舵角から徐々に強いコーナリングフォースが出てきます。微少舵角のコーナリングフォースはしっかりしていますがその発生はゆったりしたものとなっていました。この微少舵角でのコーナリングフォースの立ち上がりが強いと、レーンキープアシストの動きがヒョコヒョコしたものとなってしまいます。この領域のチューニングがいいので、おそらくレーンキープアシストへの悪影響は少ないでしょう。

「ブルーアースGT」は耐摩耗性やドライ制動性能はブルーアースAと同等の性能を確保しながら、ウエットでの旋回性能や操安性の向上、転がり抵抗低減を実現しています。

ハンドリングや制動性能を確保しながら、ウエット性能を向上、さらには静粛性を維持したままで転がり抵抗を減らし経済性をアップしたした「ブルーアースGT」は、そのグランドツーリングというキーワードに恥じることない総合性能を発揮。軽自動車からEセグメントセダン、ミニバンまで幅広い車種でベストマッチするタイヤに仕上がっていると言えます。

(文・諸星陽一/写真&動画・松永和浩)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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