授乳時だけでない、シートベルト&チャイルドシートの着用免除されるのはどんなとき?

●授乳時などは免除

【チャイルドシート使用を免除するケース】

・車両の構造上チャイルドシートが装着できない場合
・運転者席以外の座席の数を超える数の者(定員以内)を乗車させる場合で必要な数のチャイルドシートが装着できない場合
・怪我や障害などにより、チャイルドシートを装着することが療養または健康上適当ではない幼児を乗車させる場合
・著しく肥満していることその他の身体の状態により、チャイルドシートを使用することができない場合
・運転者以外の者が授乳その他の日常生活上の世話(チャイルドシート上でできないもの)を行っている幼児を乗車させる場合
・タクシーやバスなど一般旅客自動車運送事業の乗り物に幼児を乗車させる場合
・応急の救護のため医療機関、官公署その他の場所へ緊急に搬送する必要がある幼児を乗車させる場合

現在、法律で運転者は、6歳未満の幼児についてチャイルドシートの着用させるのが義務となっています。しかし、定員との兼ね合いや、チャイルドシートを使用する幼児の状態によって免除になるのはシートベルトと同じです。

くわえて、授乳など、チャイルドシート上ではできない世話が必要な際に、チャイルドシートから幼児をおろすということも承認されています。

また、シートの形状やスペースなどによってはチャイルドシートがうまく固定できない場合もあり、そういった場合もチャイルドシートの使用が免除されます。古い2by2のスポーティカーなどは2点式シートベルトしかない上に、座面が深く掘られているため、チャイルドシートが浮いてしまって付かないケースもあります。とはいえ、ポルシェのようにその形状に合わせたチャイルドシートをリリースしている場合もありますので、一概にはいえません。

さらに、タクシーやバスについても免除されます。幼児を乗せる通園バスなど、人数も年齢も定まっている場合もチャイルドシート装着の対応をしなくていいというのは、今後変わっていく項目かも知れませんね。

最後にある応急の救護のケースについては、たとえば通りすがりに体の調子をくずした幼児がおり、救急車を呼ぶのではなく自分のクルマで病院へ搬送することになった際や迷子を保護して警察に連れて行く際なども、チャイルドシートの用意がなくても乗せて運んでよい、というようにするためのものです。

いかがでしたでしょうか。意外に多いシートベルト&チャイルドシートの着用免除のケース。もしかするとあなたの目撃したシーンは、この中のいずれかに該当するのかもしれません。

とはいえ、自動車乗車中のシートベルト(チャイルドシートを含む)着用の有無での致死率の差は、非装着者が装着者の15.3倍(警察庁の平成29年のデータ)となりますから、やはりできることなら各席とも正しい方法でシートベルトやチャイルドシートを使用するのがベストであることに違いはありませんね。

(古川教夫)

【関連リンク】

警察庁の平成29年のデータ
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/seatbelt/statistical_chart_table29.pdf

この記事の著者

古川教夫 近影

古川教夫

1972年4月23日生。千葉県出身。茨城大学理学部地球科学科卒。幼稚園の大きな積み木でジープを作って乗っていた車好き。幌ジムニーで野外調査、九州の噴火の火山灰を房総で探して卒論を書き大学卒業。
ネカフェ店長兼サーバー管理業を経て、WEB担当として編プロ入社。車関連部署に移籍し、RX-7やレガシィ、ハイエース・キャピングカーなどの車種別専門誌を約20年担当。家族の介護をきっかけに起業。福祉車輌取扱士の資格を取得。現在は自動車メディアで編集・執筆のほか、WEBサイトのアンカー業務を生業とする。
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