【ルノー・メガーヌRS試乗】強力なエンジンとそれを支える高性能シャシーの組み合わせが生み出す、別次元の走り

このシャシー性能を実現するのが3つの要素です。まずひとつ目、これが一番大きな要素で4コントロールと呼ばれる4輪操舵システムです。もっともスポーティなレースモードを選ぶと100km/hまでは逆位相(フロントタイヤが右に切れていればリヤは左)、100km/h以上は同位相(フロントタイヤが右に切れていればリヤも右)に動く4輪操舵を採用しています。レースモード以外のときの同位相-逆位相の切り替えは60km/hになります。

4 CONTROL UNLESS 60 kmH
4 CONTROL IN MORE OF 60kmH

リヤ操舵だけではく、フロントのサスペンションも強化されています。フロントはストラット式で、FF車としてはベーシックな方式ですが、ストラットに直接ナックルを取り付けるのではなく、上下に長いアームを介してから取り付けるダブルアクシスストラットサスペンションと呼ばれるものが採用されます。この方式とすることでキングピン角度の減少をねらっています。これはかつてトヨタが採用していたスーパーストラットに近い発想と言えます。

DOUBLE AXIS STRUT SYSTEM FOR THE FRONT AXLE

ショックアブソーバーは内部にもう一つの小さなショックアブソーバーを内蔵するような構造のHCCと言われる方式となります。通常フルバンプ時(もっとも縮んだとき)は、バンプラバーと言われるゴムパーツが力を受け止めます。こうすると動きが急激に制限されることになりますが、メガーヌRSのHCCではバンプラバーに当たる前に、ショックアブソーバー内に内蔵された油圧装置がゆっくりと圧縮されるため、ストロークの急激な制限が行われないというメリットがあります。

HYDRAULIC COMPRESSION CONTROL

レーシングスタートを実現するローンチシステムも備えながらも、パーキングアシストも装備するドライバーに優しいクルマで、万が一の際の自動ブレーキや車線逸脱防止なども装備します。

LAUNCH CONTROL DIAGRAM
PARKING ASSIST – EASY PARK ASSIST

メガーヌRSは5ドアモデルと3ドアモデルが存在しますが、今回日本に輸入されるモデルは5ドアのみです。2017年に輸入されたCセグメントのスポーツモデルは4300台に上りますが、そのうち3ドアハッチバックはわずか9%でしかありませんでした。この9%はすべてメガーヌRSでしたが、今回は5ドアに絞っています。

また、同4300台中、2ペダルモデルが82%、クラッチ付きMTは18%でしかありませんでした。クラッチ付きMTが存在するのはメガーヌRSとゴルフGTIでした。今回はデュアルクラッチ式6スピード・2ペダルのみの輸入となっています。3ドアモデル、MTモデルの導入も考えられてはいるようですが、詳細はまだ不明です。

この高性能スポーツCセグハッチバックを、ルノーテストドライバーのドライビングに同乗し確認しました。詳細は➡です。

(諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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