【SUZUKA 10HOUR】復活の34号車・Modulo Dorago CORSEの新生NSX GT3が見事完走

そして午前10時、フォーメーションラップの後にスタートが切られます。ここから午後8時のチェッカーフラッグまで過酷な10時間のレースが始まります。スタートドライバーは大津弘樹選手。スタート直後のオープニングラップでひとつポジションアップすることに成功し幸先のいいスタートと思いきや、その直後に接触のペナルティでドライブスルーを余儀なくされます。

しかしこのレースは10時間。初盤のミスは取り返していける、ということでドライブスルーペナルティを消化した後に気を取り直してコースに復帰していきますが、やはり運は持っていたModulo Dorago CORSE。直後のフルコースイエロー(FCY)でその遅れを取り戻します。

大津選手は27周で道上龍選手に交代。SUPER GTの感覚だとちょっと短くないか?と思いがちですが、SUZUKA 10HOURはブランパンGTシリーズなどプロモーターであるSROのルールで行われるINTER CONTINENTAL GT CHALLENGEの中の1戦として行われるため、1スティントが最長65分、セイフティカー導入時にかぶれば70分までと決められているのです。

ピットストップ時間も決められており、給油を伴うルーティーンのピットインではピットレーン滞在が82秒以上。SUPER GTに比べると倍の時間となります。それによりタイヤ交換を省略してタイムを稼ぐなどの作戦をとることができず、純粋にラップタイムの積み重ねで順位を上げていくこととなります。

そんなルールの下で戦う34号車。周回を重ねるごとにピットインのタイミングが徐々に速くなってきました。タンク内の燃料が3分の1になる辺りからパーコレーション現象が発生してしまうようになったのです。この現象が起きるとエンジンパワーが一気に下がってしまいます。そのためにタンク内の燃料を全て使い切ることができず、タンクに燃料が残っている状態、つまり早め早めのピットインとなってしまうのです。

それでも諦めずにこまめなピットインを繰り返し、午後8時のチェッカーを目指すチーム。

自分のスティントを終えピットに戻った道上選手は汗だくのレーシングスーツをすぐには脱がず、モニターでレースの様子を注視しています。選手兼チーム代表としての責任感といえるシーンです。

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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