コースに合わせたサスにノーマルのタイヤ…ですが、600馬力をオーバーするエンジンを積むGT-Rはとんでもない化け物です。とてもじゃないけど全開で走ることなどできません。いえいえ、レッドゾーンは7000回転から始まりますが、ここまで回せるのはせいぜい2速までです。それでも恐ろしく速いのです。
コーナリングはガッシリと路面をつかむタイプのものでよく曲がる。そしてものすごい脱出加速は言うまでもありません。
そこで、ミハエル・クルム選手にステアリングを握ってもらい、私は助手席に同乗となりました。走り出した瞬間からその速さに圧倒されます。シートにたたきつけられるような加速感に加えて、コーナリング時にかかる横Gは恐ろしいほどのもの。
さらにびっくりさせられるのはコーナー進入時のブレーキングの強烈さ。シートベルトが身体に食い込むそのストッピングパワーはタイヤから爪が飛び出たかのような感覚です。
場所によっては180km/h程度は出ている、イヤもしかしたらもっと速いかも知れません。
「ココハセマイヨー。ダカラアンマリスピードダセナイヨー」と言いながら、ガンガン踏んでガンガン攻めまくります。コース幅をめいっぱい使って走るそのテクニックに感動しますが、それを正確に受け止めるGT-Rもまたすごいポテンシャルです。
GT-Rの異次元のハイポテンシャルを、さらに高めたGT-Rニスモ NアタックパッケージAキット装着車はまさに雲の上の存在と言えるモデルでした。
(文/諸星陽一 写真/小林和久、ウナ丼)