「e-POWER」&可変圧縮比エンジン「VCターボ」を組み合わせる、新型キャシュカイが登場

■世界的な激戦区に投入されるCセグメント級クロスオーバーSUV

2021年2月19日、日産自動車は、3代目となる新型クロスオーバーSUVの「キャシュカイ」を同年夏からヨーロッパ市場に投入すると発表しました。

2007年に誕生した日産キャシュカイは、日本ではデュアリスの車名で2014年まで販売されています。2014年に欧州でリリースされた2代目キャシュカイは、日本ではエクストレイルと統合され、2代目デュアリスが日本でリリースされることはありませんでした。

日産 キャシュカイ
3代目となる新型キャシュカイが初公開された

さて、3代目の新型キャシュカイは、欧州市場で初めてルノー、日産、三菱アライアンスによる「CMF-C」プラットフォームが使われています。つまり、この新型キャシュカイ、そして次期型の北米版のローグ・スポーツ(北米ではエクストレイルはローグの車名)とエクストレイルも同プラットフォームが使われるはず。

Cセグメント級のSUVである新型キャシュカイは、初代登場時よりもライバルがさらに増えていて、世界でも日本でも激戦区となっています。新型キャシュカイは、歴代モデルのデザイン性を感じさせながらも、引き締まったシャープでモダンな印象に仕立てられています。

日産 キャシュカイ
新型キャシュカイのリヤビュー

エクステリアは、日産お馴染みの「Vモーショングリル」やリヤまで流れるようにデザインされたフローティングルーフなどが目を惹きます。同時に、シンプルな造形を基本としながら大胆かつ力強い印象を与える、緻密で張りのあるラインなど、同社の「グローバルデザインランゲージ」を活かしたそう。

くっきりとしたショルダーライン、延長されたホイールベース、印象的な20インチのアルミホイールなどにより、ダイナミックなエクステリアに映ります。また、スリムなLEDヘッドライトはシャープな印象を与えると共に、走行条件や歩行者の有無に合わせて自動で配光を調節する技術が採用されているそう。

サイドビューは、フロントからリヤにかけて流れる1本の特徴的なキャラクターラインが力強くスポーティな印象を付加。テールランプは、点灯時に立体感のあるデザインとすることで、強い存在感を放っています。

日産 キャシュカイ
新型キャシュカイのインテリア

パワートレーンも見どころのひとつです。

新開発の12Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされた1.3Lの直噴ターボエンジンが搭載されます。12Vマイルドハイブリッドシステムは、高性能リチウムイオンバッテリーとの組み合わせにより、減速時のエネルギーを回生して走行時に利用することで、燃費の向上とCO2排出量の低減が図られます。また、欧州初の「e-POWER」も追加投入する予定だそう。

キャシュカイe-POWERは、高出力が求められる欧州市場のニーズに応えるため、日産が世界で初めて開発した可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載。コンパクトで高出力、そして高い燃焼効率を実現する同エンジンをe-POWERと組み合わせることで、より高効率な電動パワートレインを実現するとしています。

日産 キャシュカイ
日産キャシュカイのフロントシート

先述のように、欧州市場で初めて3社アライアンスの「CMF-C」プラットフォームが使われる新型キャシュカイには、最先端の車体構造と技術アーキテクチャが採用されています。

車体の骨格部分には、従来よりも多く軽量素材が使われていて、最新のプレス技術と溶接技術を用いることで強度を高めると同時に軽量化も実現。また、樹脂バックドアの採用や、先進的な製造技術を導入することで、現行型と比較して60kgの軽量化を果たしているそう。同時に、車体剛性は41%引き上げられています。

これらにより、ワンランク上の洗練された走りと安定した乗り心地を実現しながら、事故時の衝突安全性能も大きく向上しています。

さらに、予防安全性能も最新版が搭載され、様々な状況においてドライバーをサポートする安全運転支援機能を用意。中でも「プロパイロット(ナビリンク機能付)」は、ドライバーが設定した車速を上限に、先行車と車速に応じた車間距離を保ちながら、車線中央付近を走行するサポートが入ります。

高速道路での同一車線内での加減速を補助することで運転中の疲労やストレスを軽減。直感的な操作が可能だそうで、ナビゲーション・データを利用することで、急カーブや高速道路の出口などでも車速を自動調整し、スムーズな運転をサポートするそう。

日産 キャシュカイ
新型キャシュカイのメーターパネル

また、「CMF-C」プラットフォームを採用した新型は、前後サスペンションの改良も施されています。

フロントサスペンションにマクファーソンストラット式が採用され、リアサスペンションには、2WDモデルはトーションビーム、20インチのホイールを装着する4WDモデルはマルチリンクになっています。ほかにも、パワーステアリングも改良され、ステアリング操作時の応答性と中立付近の安定感を向上させたそう。

最新のコネクティビティも見逃せません。最大7台のデバイスとの接続を可能とする車載Wi-Fiをはじめ、車両の状態をモニタリングする専用アプリ「NissanConnect Services」などの先進的なインフォテインメントシステムが搭載されます。ステアリングのダイヤルスイッチで操作する12.3インチのマルチインフォメーションスクリーンは、ナビやエンタメ、交通情報、車両情報などの表示レイアウトを選択可能。

日産キャシュカイ
インパネ中央のマルチインフォメーションスクリーン

マルチインフォメーションスクリーンの背景には、日本の切り子ガラスをモチーフにしたデザインが採用され、日本のDNAが表現されているとのこと。新しい10.8インチのヘッドアップディスプレイ(HUD)は、ナビのルート、運転支援情報や道路情報などをフロントガラスに映し出すことで、視線移動を抑制し、運転に集中できるよう工夫されています。

さらに、高解像度の9インチ「NissanConnect」ディスプレイ画面にもナビやエンタメ、車両設定機能が搭載され、「Android Auto」「Apple CarPlay」のスマホ連携に対応。加えて「Googleアシスタント」や「Amazon Alexa」にも対応し、自宅とクルマをシームレスに繋ぐことができます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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