【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判】in オートモビル カウンシル2018(ホンダ編)

80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズの番外編。8月3日より5日まで幕張メッセで開催された「オートモビル カウンシル2018」から国産車ブースを取り上げます。2回目はホンダブースです。

ホンダ(4輪車)のテーマはズバリ「LEGEND History」。新型が登場したタイミングを生かし、初代以降のレジェンドのみを展示するという贅沢な内容です。さっそく見て行きましょう。

ホンダのフラッグシップとして1985年に登場した初代は、当時勢いに乗るホンダデザインに準じたもの。とくに展示の4ドアセダンは、同年発表の3代目アコードと基本シルエットやサイドグラフィックなど多くのイメージを重ねるものです。

前後ブリスターこそ比較的繊細にまとめられましたが、大型バンパーとそれに続くサイドモールはアコードよりも太く格上感を演出。固定型のランプもフロントのボリュームを巧みに上げています。しかし、プレスドアを用いたボディは、基本的にアコード同様のプレーンな美しさを確保しました。

1990年登場の2代目も、やはり同時期のインスパイア、ビガーに準じたデザインコンセプト。超横長のフロントランプと薄型グリルによりボディの低さを表現。サイドボディも水平基調を強調することで、低さと同時に薄さまでも感じさせます。

サッシュタイプとなったドアは、初代のカタマリ感よりも繊細さを優先。低いボディとの組み合わせが当時のホンダの世界観を打ち出します。一方、広いリアパネルはクーペの特徴で、伸びやかなボディの勢いをしっかりと受け止めました。

これを発展させた3代目に続く4代目(2004年)は、アキュラの中核モデルとしてボリューム感を大幅に引き上げた新世代ボディへ移行。ボディパネルまで延びる大型ランプなどが、90年代デザインとの決別を示します。

ただ、展示の初期型の前後ランプは、ボディ面へキレイに溶け込む素直な形状が特徴。最近の複雑さを競うようなデザインの手前にあったことを感じさせます。その意味で、造形的に時代の端境期にあったのかもしれません。

ホンダの展示は新型レジェンドのアピールを兼ねた意図があったのかもしれません。しかし、奇しくも元気一杯だった80年代のホンダデザインからの流れを同じ車種で見せたことで、それ以上の意味を持った展示になっていたように思えます。

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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