【新型ジムニー悪路試乗】ノーマルでも破格の走破力。電子制御の効果で誰でもオフ走行が楽しめる

続いてドライバーから見たらほぼ断崖絶壁のような急激な斜面を降りてみます。

ただ下るだけなら簡単じゃないの?と思うかもしれませんが実はそうではないのです。

下り坂で車速を殺そうとしてブレーキをした際にロックし、そのまま滑ってしまう危険というのが大きいので、初心者にとっては難関なのです。

しかし新型ジムニーには坂を下る際に最適なエンジン出力制御とブレーキ制御を自動で行ってくれる、ヒルディセントコントロールが備わっています。

このため今回かなりの急坂にも関わらずギヤは2速に入れたままアクセルもブレーキペダルも踏まずに自動で降りてくれました。

続いて挑戦したのは登り坂の道にタイヤが不規則に埋め込んであるタイヤ山登りです。

この坂道では前後4輪がそれぞれ不意にグリップしたりスリップしたりを繰り返しますので、走り抜けるのは相当に難関なはずです。

しかしながら新型ジムニーにはブレーキLSDと言う電子制御機構が入っています。これは1輪ごとにタイヤの空転状況をチェックしていて、滑ったタイヤにはブレーキをかけ、それ以外のグリップしている駆動輪によって車両を前に進めていくといいもの。

このブレーキLSDのおかげで、信じられないほどスムーズにタイヤ山をクリアしていきます。

このときブレーキLSDの効きはとても自然なのでドライバーに緊張感はありません。

最後に試したのは上り坂の途中で一旦停止して再発進をするというものです。

マニュアルトランスミッション車はもちろんオートマチック車でも緊張が強いられるこの場面。一般的な舗装でも大変なのに今回は未舗装のダート路面です。

従来モデルであったらとても挑戦はしたくないと思った筆者(初心者)ですが、新型ジムニーにはヒルホールド機構が備わっていますので挑戦することに。これは坂道等でブレーキから足を離しても2秒間は車両停止状態をキープしてくれるというものです。

結果、この電子制御機構のおかげで全く問題なくジムニーは坂道の途中から再発進してくれたのでした。

今回のジムニーはハード面での良さは完全に受け継ぎつつ、ソフト面(電子制御機構)を加えることで従来のジムニーでは不可能だった領域まで走行することが可能になっています。

これら電子制御はグレードを問わず全車に標準装備といったあたり、スズキの強い意志と優しさを感じます。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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