7月8日に富士スピードウェイで開催されたスーパーフォーミュラー第4戦。KONDO RACINGのニック・キャシディー選手がポールトゥウィンで初優勝を飾りました。
天候に大幅に左右された前日の予選でポールポジションを獲得したのはKONDO RACINGのニック・キャシディー選手。ドライのスリックタイヤでアタックできたQ2をキャシディー選手はトップタイムでクリアしたものの、Q3は雨となりレインタイヤでのアタック。しかしその雨のアタックで2位の山本尚貴に0.2秒の差をつけてポールポジションを獲得します。
ポールポジションのスターティンググリッド。SUPER GTでコンビを組む平川 亮選手も、自身がこのレースに参加するにもかかわらずキャシディー選手を激励します。
レースはスタート直後のTGRコーナーの攻防を一番イン側から制し、トップをキープしたキャシディー選手が逃げながら、JMS P.MU/CERUMO・INGINGの石浦宏明選手が1秒後ろを追い続けるという展開。
36周目にキャシディー選手がピットインすると13秒かからずにピットアウト。ピットンを済ませた中ではトップのままコースに復帰していきます。そして41周目にキャシディー選手に対し45秒ほどのアドヴァンテージを持って石浦選手がピットイン。キャシディー選手の前にコース復帰出来れば優勝もありえるという展開の中、ピット作業後に再スタートが上手く決まらず2秒ほどロス。そのときキャシディー選手は最終コーナーを立ち上がりストレートへ全開走行。
結果的には石浦選手はキャシディー選手のギリギリ後ろでコース復帰となり、まだタイヤの温まっていない状態ではキャシディー選手を追い上げることもままならず、キャシディー選手の逃げ切りを許してしまうこととなってしまいました。
そして55周のレースを逃げ切ってスーパーフォーミュラー初優勝を飾ったニック・キャシディー選手。
レースクイーンもその様子をハラハラしながら見守り、そして優勝には涙を流して喜びます。
しかし、そのキャシディー選手の優勝を誰よりも喜んだのは、チーム監督である近藤真彦さんでしょう。
近藤監督は「ニックの速さに応えられる環境をやっと整えることができた」と控えめにコメントしますが、KONDO RACINGがスーパーフォーミュラーで優勝したのは、実は初めて。スーパーフォーミュラーの前身であるフォーミュラーニッポンの2008年第7戦富士での2レース制第1レースにJ.P.オリベイラ選手が優勝して以来、トップフォーミュラでは実に10年ぶりの優勝となります。
サインガードでは冷静に優勝を喜んだように見えた近藤監督ですが、ピットロードを横断しピットガレージへ向う途中で何かがこみ上げたかのよう。拳を握って優勝を噛み締めています。
そしてパルクフェルメにキャシディー選手を迎えに行くと、報道陣へ満面の笑みで撮影に応えます。
キャシディー選手の初優勝とKONDO RACINGの10年ぶりの優勝。この二つの意味が表彰台の頂点でひとつに重なっているのです。
そして山本尚貴選手の連勝を止めることが出来たのもキャシディー選手。国内最速のハイスピードバトルも残り3戦となりますが、またもやチャンピオンの行方がわからない状態となり、ますます面白さがアップしているスーパーフォーミュラー。
次戦は8月18~19日のツインリンクもてぎ「もてぎ2 & 4レース」にて開催されます。
(写真:松永和浩、高橋秀彰、大西幸仁 文・松永和浩)