アンベールというよりは除幕式といった方がしっくり来るような厳かな雰囲気。そして幕が取り払われると来場者は一斉に拍手を送ります。
そしてセンチュリーの開発責任者である田部主査からの商品説明と続きます。販社の内覧会で主査が商品説明をするということ自体レアケース。トヨタにとってセンチュリーがいかに大事な商品なのかという証となるのでは無いでしょうか。
来場者の方々は食い入るようにパネルディスカッション形式の説明に注目しています。
今回の内覧会の顧客の方々は法人ユーザーの方が多いと事前にうかがっていたのですが、その法人ユーザーも企業の総務担当者や車両担当者ばかりではなく、本来センチュリーの後席に乗るはずの経営者や役員の方が非常に多かったのが印象的です。
商品説明が終わるといよいよセンチュリーを間近に見ることができるようになります。センチュリーの周囲にあったロープフェンスが外されると皆さん、我先にとセンチュリーに近づいていきます。
東京モーターショーでプロトタイプが展示されていたセンチュリーをご覧になった方も多いとは思いますが、今回の内覧会では濃紺の「摩周」というカラーも展示され、こちらには本革シートが装着されていることもあって大きな注目となっていました。本革シートがユーザーに公開されるのは今回が初めて。
東京トヨペットの方にお話をうかがうと、宮内省や政府などの官公庁向けにはウール素材の内装が多いのですが、法人ユーザーや個人ユーザーの方は本革シートを選ぶ方も多いとのこと。
また、来場された顧客の方にお話をうかがうと「社用で使うには環境のイメージも重要で、そこで考えるとハイブリッドしか選択肢が無い。会社にもレクサスLSがあるが、あれは自分でドライブした方が楽しい。リアシートに乗ることを考えれば色々な面でセンチュリーがいいのだが、ようやくハイブリッドになってくれた」と大歓迎ムード。
センチュリーとなるとタクシー会社などのハイヤー需要も多いとのこと。東京トヨペットのタクシー担当の方にうかがうと「先代から700万円アップしてるのでタクシー会社の方が減価償却にどういった評価を下されるかと思っていましたが、ランニングコスト的に燃費性能が2倍となったこともあって好評をいただいております」とこちらも歓迎ムード。先代のハイヤー需要での耐用年数は概ね8年以上ですが、ハイヤー利用者に新型イメージによる需要が広がれば大きく受注を伸ばすことになるだろうとのことです。
ところでセンチュリーに意外な装備を発見しました。それはチャイルドシート用のアタッチメント。個人ユーザーの方にはご家族にお孫さんなど小さなお子さんがいる場合もあることから、センチュリーのリアシートにもチャイルドシートを取り付けられるようになっています。
そして、如何にもセンチュリーらしいのがノベルティ。東京トヨペットで契約した顧客へ送られる置時計なのですが、赤坂にある迎賓館に時計を納めている高田製作所の真鍮製置時計。真鍮の鋳物で出来たケースは重厚感がスゴイ!ムーブメント以外はこちらも手作りで製作されています。
6月25日の段階で日本全国で既に300台以上の受注があったセンチュリー。ほぼ手作りと言えるような生産方法なので1日あたりの完成車ラインオフが2台とのこと。つまりバックオーダー300台といっても今すぐ発注して納期は6ヶ月以上!
国産唯一のショーファードリブンカーとして、本当にVIPが待ち焦がれていたセンチュリー。1960万円という価格であっても、それが必要な方々がいるのだ、と感じることが出来る内覧会でした。
(写真・文:松永和浩)