2018年WEC(世界耐久選手権)第2戦となる、伝統のル・マン24時間レース直前に行われた「TOYOTA GAZOO Racing WEC ル・マン事前メディア説明会」。
説明会では中嶋一貴選手、小林可夢偉選手、トヨタ自動車GRモータースポーツ開発部 部長 小島正清氏、トヨタ自動車GRマーケティング部 部長 北澤重久氏によるトークショーも行われ、誰もが気になるあのドライバーの話や、ル・マンへ向けたこだわりのテスト話などが飛び出しました。
今シーズンのビッグニュースと言えば、やはり現役F1ドライバー、フェルナンド・アロンソ選手の加入でしょう!
武士としての心得が書かれた「葉隠」にインスパイアされ、背中に武士のタトゥーを入れているアロンソ選手は2005年・2006年に絶対王者ミハエル・シューマッハを破り、F1ワールドチャンピオンを獲得。チャンピオンから遠ざかった今でも、誰もが口を揃えて「現役最強」と呼ぶトップドライバーです。
そんなアロンソ選手と同じ8号車でドライブする中嶋選手は、彼の加入をどのように感じているのでしょうか。
「電話がかかってくるまで知らなかったので彼が乗ると聞いた時、僕もびっくりしたのですが(笑)、『本当に乗るんだ』という感じでもありました。僕も含め、皆さんも思っているであろうF1の印象とは全く違い、耐久レースverみたいな感じです。凄くフランクに話をしますが、クルマの要求は感心するくらい高い。意見もはっきり言ってくれるので、こちらとしては凄くやりやすく、頼もしい存在です」
小林選手はアロンソ選手の「意外な一面」を見つけたのだそう。
「グランツーリスモとウイニングイレブンがめちゃくちゃうまいんですよ! 7号車のホセ・マリア・ロペスがゲームで世界大会に出るくらいゲーマーなのですが、そのゲーマーを秒殺KOですよ。『このワールドチャンピオン、ゲームやる時間あるんだ』と、驚きました(笑)」
「F1ドライバーならシュミレーターでトレーニングしているから上手いのでは?」という司会者からの問いに、小林選手から驚きの答えが返ってきました。
「実際のシュミレーターは乗らないらしいですよ。ゲームと言っても、ステアリングじゃなくコントローラーですからね。しかも変態なんで(笑)、ブレーキをロックさせないABS(アンチロック・ブレーキシステム)と、タイヤの空転や車の横滑りを防止するTRC(トラクションコントロール)をオフにしてやるのですが、これをなしでやると難しくて。僕たちがやると1周目の1コーナーでささります。ゲーム屋さんですか?っていうくらい、本当にうまいんですよ」
5月5日に行われた開幕戦、スパ・フランコルシャン6時間レースにPS4(プレイステーション4)を持って行ったところ、夢中になりすぎて帰るのが遅くなったと話す小林選手。
「スパにPS4を持って行ったら、実際に走行している距離よりもグランツーリスモの走行距離のほうが長かったんですよね(笑)。タイムを更新しあって、わきあいあいとやりました。いつもはレースが終わったらすぐに帰るのに、皆なかなか帰らないくらいです」
まるで少年に戻ったかのように、とても楽しそうにゲームの話をする中嶋選手と小林選手。TOYOTA GAZOO Racingのチームワークの良さを感じました。
それにしてもアロンソ選手が(ロペス選手も!)、ここまでゲーマーだったとは。ドライバー達が超真剣にゲームをしている姿、いつか見てみたいなぁ。